東京には小さな庭園から大きな庭園まで、風流なひとときを過ごせる日本庭園がいくつもあります。この記事では、私が実際に訪れて、とくにおすすめだと思った庭園を厳選してご紹介しています。
1. 観光として楽しむなら「浜離宮恩賜公園」(汐留)
東京で観光気分で庭園散策を楽しむなら、おすすめは「浜離宮恩賜庭園」。汐留駅から歩いて5分ほどの場所にある、東京都内で最も大きな大名庭園で、面積は25ha。これは東京ドーム5個分もの広さです。
浜離宮恩賜庭園と言えば、季節の花畑も見どころの一つ。早春には菜の花、夏から秋にかけてコスモス畑が楽しめます。高層ビルを借景にしているところに、汐留らしさを感じますね。
そのほか梅林や桜、あじさいなど、四季折々の花が園内を彩ります。
広い園内にはいくつか見所がありますが、ぜひ小高い丘になっている「富士見山」へ行ってみてください。かつては富士山が見えたそうですが、現在は見えません。しかし「潮入の池」を見渡す絶好のスポットとなっています。
潮入の池には「中島の御茶屋」が浮かびます。こちらでは、お抹茶と上生菓子でひと息つくことができます。
テラス席もあり、池を間近に眺めながらいただくことも。ただし夏は暑く、店内でいただくのがおすすめ。
浜離宮恩賜公園
住所:東京都中央区浜離宮庭園1-1
開演時間:午前9時~午後5時(入園は午後4時30分まで)
入園料:300円
アクセス:【大手門口】都営地下鉄大江戸線「築地市場駅」「汐留駅」・ゆりかもめ「汐留」より徒歩7分/JR・東京メトロ銀座線・都営地下鉄浅草線「新橋駅」より徒歩12分
【中の御門口】都営地下鉄大江戸線「汐留駅」10番出口より徒歩5分/JR「浜松町」より徒歩15分
https://www.tokyo-park.or.jp/park/hama-rikyu/index.html
2. 見どころが多く飽きない「小石川後楽園」(後楽園)
浜離宮恩賜公園と比べてしまうと規模は小さいですが、それでも休日のおでかけには事欠かない広さ。とにかく見どころが多く楽しめるのが特徴です。東京ドームのすぐそばにあります。
小石川後楽園は、水戸黄門で知られる徳川光圀(とくがわみつくに)が完成させた庭園です。日本各地の景勝地を模した景観が園内の随所にあり、見どころが多い庭園となっています。また、儒教思想の反映により、中国趣味も取り入れられています。
スイレンが浮かぶ「内庭」も美しく、その向こうには「唐門」があります。唐門はかつての後楽園の正式な入口門。私的な空間である「内庭」と後楽園を隔てていましたが、1945年(昭和20年)の空襲により焼失。2020年(令和2年)に復元されました。
後楽園の映えスポットとして紹介されることも多いのが「円月橋(えんげつきょう)」。橋が水面にうつると満月のように見えることから名付けられたそうです。
例年5月下旬〜6月上旬にかけて、菖蒲田には綺麗な花菖蒲が咲き誇ります。先にご紹介した円月橋は、菖蒲田からすぐの場所にあります。
西門の有料エリアの手前には「涵徳亭(びいどろ茶寮)」があります。小石川後楽園に入園せず、こちらだけ利用することも可能。
涵徳亭(かんとくてい)は、小石川後楽園が造られた頃に建てられたもので、現在のものは1986年に(昭和61年)に再建された四代目。
「びいどろ茶寮」として、ランチや喫茶が楽しめるスペースがあります。2024年6月時点のメニューは以下になります。
<<涵徳亭(びいどろ茶寮)メニュー>>
花籠御前:1,800円
蕎麦御前:1,800円
抹茶と和菓子セット:850円
徳川将軍珈琲と和菓子セット:1,000円
徳川将軍珈琲フロート:850円
生ビール:600円/瓶ビール:550円
他
カウンター席からは庭園を間近に眺めながら、ひと息つくことができます。和菓子セットは上生菓子も2種類から選ぶことができますが、この日は中に梅の実が入った和菓子にしてみました。
小石川後楽園
住所:東京都文京区後楽1-6-6
開園時間:9時〜17時(最終入園は16時30分)
入園料:一般300円/65歳以上150円(小学生以下および都内在住・在学の中学生は無料)
アクセス:都営大江戸線「飯田橋駅」C3出口より徒歩3分/JR・東京メトロ東西線・南北線・有楽町線「飯田橋駅」より徒歩8分/東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」より徒歩8分
https://www.tokyo-park.or.jp/park/koishikawakorakuen/index.html
3. ホテルのラグジュアリーな雰囲気も味わえる「ホテルニューオータニ・日本庭園」(赤坂見附)
千代田区紀尾井町にある、老舗ラグジュアリーホテル「ホテルニューオータニ」。ホテルを通って庭園へ出れば、ホテル空間も楽しめ、ちょっとした非日常気分が味わえます。
なかでも1番の見どころは高さ6mの大滝。高低差のある場所だから実現できた景色です。
日本庭園は約1万坪(東京ドームの2/3ほど)。池を中心として周囲をぐるりと歩くことができる、池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)の日本庭園です。
鯉がおよぐ清泉池には朱色の太鼓橋が架けられており、人気の撮影スポットになっています。
白い砂利を水面にみたて、石や松樹で山を表現する枯山水(かれさんすい)の庭も見ることができます。
あわせて楽しみたいのが「ガーデンラウンジ」で過ごす時間。ガーデンタワー6階にある、日本庭園を見渡すラウンジです。大きなシャンデリアや、庭園の緑に映える赤を基調としたインテリアが、優雅な気持ちにさせてくれます。
ホテルニューオータニ・日本庭園
住所:東京都千代田区紀尾井町4-1
入園料:無料
アクセス:東京メトロ銀座線・丸ノ内線「赤坂見附駅」D紀尾井町口より徒歩3分/東京メトロ半蔵門線・南北線「永田町駅」7番口より徒歩3分/東京メトロ「有楽町線」2番口より徒歩6分/JR 中央線・総武線ほか「四ツ谷駅 」麹町口・赤坂口より徒歩8分
https://www.newotani.co.jp/tokyo/garden/
4. 夜のライトアップがおすすめの「グランドプリンスホテル高輪・日本庭園」(品川)
「プリンス さくらタワー東京」「グランドプリンスホテル高輪」「グランドプリンスホテル新高輪」の3つのホテルに囲まれて日本庭園があります。約20,000㎡(6,050坪)の日本庭園は、1971年に、旧高輪プリンスホテルの新築にともない作られました。密かな桜の名所としても知られています。
見どころとなっている鐘楼、観音堂、山門は港区指定有形文化財に指定。ここが品川であることを忘れてしまいそうな風流な景色です。
グランドプリンスホテル高輪の日本庭園は、夜に訪れるのもおすすめ。TBSのドキュメンタリー番組『情熱大陸』にも出演された、竹あかり総合プロデュース集団「CHIKAKEN」さんが手がけるライトアップ「高輪廿六夜」が楽しめます。
「月待ちチェア」は実際に座ることができ、映える写真が撮影できます。昼も夜も、宿泊客でなくても無料で楽しめるので、ぜひ足を運んでみてくださいね。
グランドプリンスホテル高輪・日本庭園
住所:東京都港区高輪3-13-1
入園料:無料
アクセス:JR・京急線「品川駅」高輪口より5〜10分/都営地下鉄浅草線「高輪台駅」より徒歩5分
https://www.princehotels.co.jp/shintakanawa/facility/japanese-garden/
5. 住宅街にある庭園で静かに過ごせる「大田黒公園」(荻窪)
JR・東京メトロ丸ノ内線「荻窪駅」から徒歩10分ほど、住宅街にひっそりと広がる「大田黒公園」は、地元の人たちのオアシスです。
紅葉の名所として知られ、紅葉の時期こそライトアップも含めて多くの人が訪れますが、それ以外の時期は、わりと静かに楽しめる日本庭園です。
なんと言っても、見どころは正門入ってすぐの70mつづくイチョウ並木。白い御影石に沿って綺麗並ぶイチョウの木は樹齢100年超えで、その先にある庭門がまたいい味を出しています。
それほど大きくない庭園ながらも、清らかな川が流れ、立派な錦鯉も泳ぎ、自然豊かで美しい庭園です。
大田黒公園
住所:杉並区荻窪3-33-12
開園時間:午前9時から午後5時(入園は午後4時30分まで)
休園日:水曜日
入園料:無料
アクセス:JR・東京メトロ丸ノ内線「荻窪駅」より徒歩10分
https://hakone-ueki.com/sub/
6. 起伏のある地形を生かしダイナミックで美しい「殿ヶ谷戸庭園」(国分寺)
JR「国分寺駅」から徒歩2分と駅から近い場所にある「殿ヶ谷戸庭園(とのがやとていえん)」。三菱財閥のオーナー・岩崎彦弥太(いわさきひこやた)が別邸とした庭園です。2011年(平成23年)9月には国の名勝に指定されました。
園内随一の見所は「紅葉亭」。秋には美しい紅葉が楽しめるとして有名ですが、青もみじも負けず劣らず美しいです。
高低差が10mあると言われる「殿ヶ谷戸庭園」。園内の一番低い部分には「次郎弁天池」があります。湧水を利用してつくられた池で、透き通っています。
とにかく起伏が激しいので、必ず歩きやすい靴で行きましょう。
「殿ヶ谷戸庭園」は見どころが多く、竹林と竹の小径も。
藤棚と萩のトンネルもあり、フジは4月下旬、萩は9月中旬ごろに見頃を迎えるそう。
殿ヶ谷戸庭園
住所:東京都国分寺市南町2-16
開園時間:午前9時~午後5時
入園料:一般150円
アクセス:JR「国分寺駅」南口より徒歩2分
https://www.tokyo-park.or.jp/park/tonogayato/
7. 朝活派におすすめしたい「甘泉園公園」(早稲田)
東京メトロ東西線「早稲田駅」より徒歩7分の場所に広がる「甘泉園公園(かんせんえんこうえん)」は、なんと朝7時から開園しています。清々しい朝の時間を、緑豊かな庭園で静かに過ごしたい方におすすめ。
面積14,235平方メートルと、そう大きくはありませんが、とても美しい景観が楽しめる庭園です。「下池」と「上池」の周りをぐるっと周れる池泉回遊式庭園になっています。
「下池」と「上池」の間には飛び石があり、その奥に見えるのは「四阿(あずまや)」です。比較的大きめで、こちらに座って庭園を眺めながらのんびり過ごすのもいいでしょう。そのほかにもベンチが数カ所あります。
甘泉園公園
住所:東京都新宿区西早稲田3-5
電話番号:03-5273-3914
開園時間:3~10月:午前7時~午後7時/11~2月:午前7時~午後5時
入園料:無料
アクセス:東京メトロ東西線「早稲田駅」より徒歩7分/都電荒川線「面影橋」より徒歩1分
https://www.city.shinjuku.lg.jp/seikatsu/file15_03_00011.html
8. 国会議事堂や警視庁がすぐ近くにある「国会前庭」(永田町)
国会議事堂と通りをはさんで、北庭と南庭から成る「国会前庭」があります。管理しているのは衆議院。
北庭が洋風庭園で、南庭が和風庭園になっており、北庭から警視庁を眺める光景は、ドラマ『相棒』でたびたび登場することで知られています。
和風庭園となっている南庭は、間近に水を感じられ涼やかです。小さな滝から流れる水が小さな岩にぶつかりながら流れ、さながら渓谷に遊びに来ているよう。
池を眺めるようにベンチも配置されており、ゆっくりと過ごすことができます。池のほとりには東家もあります。
洋風庭園の北庭には大きな時計塔があります。三角の形をしており、これは司法、立法、行政の三権分立を表しています。
こちらは「日本水準原点」。日本の土地の標高を測定する基準となる点で、明治24年5月に設置されたもの。
国会前庭
住所:東京都千代田区永田町1−1
開園時間:9:00~17:30
入園料:無料
アクセス:東京メトロ「永田町駅」「国会議事堂前駅」より徒歩5分
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/kensei/zentei.htm