東京には、ガイドブックでおなじみの名刹から、ふと立ち寄りたくなるような穴場のお寺まで、心をそっと癒してくれるお寺があります。この記事では、そのなかから美しい境内に癒されるお寺を厳選してご紹介。どれも実際に私が足を運び、「はぁ…癒される」と心から感じた、とっておきのスポットばかりです。
1. お堂が回廊でつながれ美しい!堀之内妙法寺(新高円寺)

はじめて訪れる人が口々に「こんな場所に、こんな風情のあるお寺があったなんて」と驚くのは、杉並区堀ノ内にある「妙法寺」です。
住宅街にたたずむ妙法寺の境内は思いのほか広く、境内を歩いているとお香の香りが漂い癒されます。
山門入って正面にあるのがメインのお堂ですが、メインのお堂は本堂ではなく「祖師堂」。妙法寺は「やくよけのおそっさま」と呼ばれる厄除けのお寺です。

祖師堂や本堂などのお堂が回廊でつながれており美しく、境内を散歩していると自然と心が洗われます。

山門(仁王門)とは反対にある裏門には灯篭がズラリと並び、こちらも美しい。初夏にはこの道をあじさいが彩ります。杉並区の住宅街にあるとは思えない、旅情を感じるお寺です。
堀之内妙法寺
東京都杉並区堀ノ内3-48-8
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2. 京都を思わせる風情あるお寺!観泉寺(上井草)

上井草駅から徒歩12分ほど、荻窪駅からは距離にして約2kmの場所にある「観泉寺」。上の写真は観泉寺の塀を撮影したものですが、まるで京都を訪れたと錯覚するような一角ではないでしょうか。

美しいのはもちろん塀だけではなく、境内には小規模ながら手入れされた、池泉鑑賞式の日本庭園があり、心が癒されます。
観泉寺は、今川家ゆかりのお寺です。今川家といえば、桶狭間の戦いで織田信長に敗れた、今川義元がよく知られています。境内には今川家代々の墓があり東京都の旧跡に指定されています。

観泉寺には竹林の小径もあります。やはり京都を散歩しているような雰囲気を味わえます。
観泉寺
東京都杉並区今川2-16-1
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3. 新緑も紅葉も美しい!九品仏浄真寺(九品仏)

親しみやすいハイソな街「自由が丘」からも歩ける場所に、こんなに立派なお寺があるなんて!と驚きを隠せないのが「九品仏浄真寺(くほんぶつじょうしんじ)」です。
東京ドーム約2.5個分とも言われる広さにも驚きます。
境内には、本堂に相対するように三仏堂(上・中・下品堂)が並びます。三仏堂では、九品仏の由来となっている9体の阿弥陀仏を安置しています。

九品仏浄真は紅葉の名所として知られ、ここが世田谷区であることを忘れてしまうような紅葉の景色が楽しめます。とくに大きく立派な山門を覆う紅葉は、うっとりするような美しさ。

しかしその美しさは紅葉の季節だけではありません。青々とした緑が境内を彩る季節も心癒されます。ゆっくり歩きながら、時にはベンチに座って休憩をしながら、時間の許す限りその場にいたくなってしまいます。

境内には、波紋を表現した砂紋が美しい枯山水の庭園もあります。ぜひ本堂から眺めてみてください。
九品仏浄真寺
東京都世田谷区奥沢7-41-3
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4. 参道の松並木も絶景!豪徳寺(宮の坂)

豪徳寺といえば、ズラリと並ぶ招き猫がよく知られており、海外からの観光客にも人気のお寺です。
これらの招き猫は、ご利益を授かった方が返納したもの。境内の「招福殿」という場所に、招き猫がたくさん置かれています。

豪徳寺の見どころは招き猫だけでなく、じつは豪徳寺参道の松並木がとても風情があり美しいのです。
この参道を通らずとも境内に入れてしまうので、この参道を知らない人もいるぐらいですが、通らないなんてもったいない!

そのほかにも、猫が隠れている三重塔や、山門から仏殿に向かう参道も美しく、獅子の乗った大香炉も見どころです。
豪徳寺
東京都世田谷区豪徳寺2-24-7
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5. 隈研吾氏設計の美しいお寺!瑞聖寺(白金台)

白金台駅からすぐの場所に鎮座する「瑞聖寺(ずいしょうじ)」は、創建1670年と歴史があるお寺です。
2018年に、世界的建築家である隈研吾氏設計のもと、老朽化していた庫裡(くり)が改築されました。庫裡とは台所のことですが、住職をはじめとする住居兼事務所の役割を果たしています。
コの字型の回廊状になっており、回廊の中央には四角い池が設置されています。池には、重要文化財にも指定されている「大雄宝殿」がリフレクションしており美しいです。

池には盆栽のように木が植栽されており、まるで水墨画のような風景です。境内はこぢんまりとしていますが、歴史とモダンが見事に調和しており、一度は訪れたいお寺です。
瑞聖寺
東京都港区白金台3-2-1
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6. 東京大仏が鎮座する!乗蓮寺(下赤塚)

大仏というと、奈良や鎌倉が有名ですが、実は東京23区にも「東京大仏」が鎮座しているのをご存知でしょうか。板橋区にある「乗蓮寺」というお寺には、基壇から含めて高さ約12.5mの東京大仏が、とてもやさしいお顔で見守ってくださっています。

乗蓮寺は応永年間(1394~1428年)に建てられた、浄土宗のお寺です。江戸時代には徳川家から土地を与えられるなど、幕府とのつながりも深かったと伝えられています。
境内はとても美しく手入れが行き届いており、歩くだけで気持ちがよく癒される時間を過ごせます。

東京大仏にとどまらず、境内には数々の石仏が点在するほか、朱色が印象的な小さな福寿観音堂や閻魔堂など、見どころの多いお寺です。

東京大仏 乗蓮寺
東京都板橋区赤塚5-28-3
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7. 東京タワーをしたがえる!増上寺(芝公園)

東京のガイドブックにも載るような大きなお寺「増上寺」。背後に東京タワーをしたがえる、まさに東京観光で訪れたいお寺です。
増上寺は徳川家の菩提寺であり、「安国殿」には徳川家康公が深く信仰した「黒本尊(阿弥陀如来)」がお祀りされています。
大きなお寺だけあり見どころは多く、重要文化財にも指定される「三解脱門」をはじめ、大きな建造物は圧巻で迫力があります。

桜の名所としても知られており、春に訪れるとより美しさを満喫できます。
増上寺
東京都港区芝公園4-7
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8. 堂内見学が見応えたっぷり!深川不動堂(門前仲町)

深川不動堂は、千葉県の成田山新勝寺を本山とする東京の別院です。御本尊の不動明王は、「煩悩を断ち切り、正しい道へ導く仏」とされ、古くから多くの人に信仰されています。
緑色の屋根のお堂が本堂のように思えますが、じつは旧本堂です。

旧本堂の隣にあるのが、現在の本堂。外壁に黒と金の梵字(ぼんじ)が並ぶ光景が神秘的です。
深川不動堂を訪れたら、ぜひ堂内を見学してみてください。旧本堂と本堂、そして内仏殿は繋がっており、とくに4階にある日本最大級の天井画「大日如来蓮池図」は、しばらく椅子に座って見入ってしまうほど壮大。
黄金に輝く空間のなかに身を置きながら眺めている時間は、まさに癒しのひとときでした。
そのほか、1階の「祈りの回廊」には、約1万体のクリスタル五輪塔が奉安されており神秘的です。

深川不動堂
東京都江東区富岡1-17-13
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9. 関東三大不動尊のひとつ!高幡不動尊(高幡不動)

関東三大不動のひとつとして知られる由緒あるお寺「高幡不動尊」。正式名称を「高幡山明王院金剛寺」といい、厄除けのご利益で信仰を集める「不動明王」がご本尊です。
境内は広々としており、面積約13,200平方メートルを誇ります。隣接する山林を含めると約10万平方メートルにもなるそう。
広い境内には見どころが多く、たとえば、国の重要文化財に指定されている「不動堂」では、毎日決まった時間に行われる「護摩修行」を無料で見学できます。目の前でどんどん炎が大きくなる光景を見ていると、不思議な感覚に包まれます。

高幡不動尊の象徴ともいえる、美しい朱塗りの五重塔は、見上げてしまう大きさ。高さ39.8m、総高は45mを誇ります。

境内の奥にある「大日堂」には、龍の下で手を叩くと願い事が叶うという「鳴り龍」がいます。見学は有料となりますが、静けさが漂うお堂のなかで過ごす時間は癒しそのもの。
高幡不動尊
東京都日野市高幡733
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10. 静かなるつつじ寺!薬王寺(青梅)

青梅市でつつじ寺と言えば「塩船観音寺」が有名ですが、そこから3kmほど離れた場所に、もう一つのつつじ寺があります。それが「薬王寺」。
これだけの美しいつつじの絶景が楽しめるのに、塩船観音寺に比べて訪れる人は少なく静か。心癒されるひとときを過ごすことができます。

つつじ園の山道をのぼりながら、あたり一面を彩るつつじに包まれるように歩くことができます。ふと、本堂のほうを振り返ると、ずいぶん高さがあることに驚きます。そして目の前には、胸いっぱいに深呼吸したくなるような清々しい景色が広がっています。

本尊・薬師如来を安置する本堂「報恩院」。派手さがない佇まいが、かえって厳かな雰囲気を醸し出しています。
薬王寺
東京都青梅市今井1-2520
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