「ちょっと出かけたいな」と思ったときに、気負わず立ち寄れる無料のおでかけスポットをご紹介します。実際に私が足を運び、「また来たい」と感じた場所を中心にまとめました。
一般的な公園や庭園は外し、「本当に無料でいいの?」と思ってしまうほど満足度の高いスポットをピックアップしました。
1. 東京都庁展望室(新宿)

見てください!地上202メートルから広がる大都会・東京のパノラマビュー。
JR「新宿駅」西口から徒歩約10分、都営大江戸線「都庁前駅」からはすぐの場所にある東京都庁。45階には、無料で楽しめる展望室があります。
展望室は南と北の2カ所あり、より広く開放的なのが南展望室。訪れる人も多く、にぎわいがあります。どちらの展望室からも、都心の高層ビル群はもちろん、遠くの山並みまで見渡すことができ、天気が良ければ富士山の姿を望める日もあります。

室内は想像以上に広々としており、一角には多摩産材を使用した木の温もりを感じる展望デッキも。ゆるやかなスロープ状になっています。

2025年4月のリニューアルでは、お土産ショップ「GIFT SHOP TOKYO Mikke!」がオープン。従来のお土産コーナーが一新され、東京らしい雑貨やお菓子が並びます。デザイン性の高いアイテムが多く、ちょっとした手土産探しにもぴったりです。
また、カフェメニューも充実。コーヒーやスイーツを、ベンチやテーブルに座ってゆっくり楽しめるのもうれしいポイントです。
無料とは思えないほど充実している東京都庁展望室。新宿を訪れた際には、気軽に立ち寄りたいスポットです。

東京都庁展望室
東京都新宿区西新宿2-8-1 東京都庁第一本庁舎45階
公式サイト
2. 旧前田家本邸(駒場東大前)

東京・駒場にある「旧前田家本邸」は、旧加賀藩主・前田家16代当主、前田利為(としなり)侯の邸宅として建てられたものです。ドラマに出てきそうな重厚感のある外観は、扉を開ける前から気持ちを高めてくれます。
当時、家族は6人。それに対して使用人は130人以上いたと伝えられており、その数字からも前田家の格式と暮らしぶりがうかがえます。

邸宅は洋館と和館に分かれています。洋館の1階には、来客をもてなすための大広間や晩餐会用の大食堂が設けられ、2階には家族が日常を過ごした居室が配置されています。
数ある部屋のなかでも、ひときわ印象に残るのが菊子夫人の部屋です。壁や絨毯、ソファに至るまで紫色で統一された空間は、気品とどこか妖艶さをあわせ持ち、当時の華やかな暮らしを想像させてくれます。この部屋は、家族のリビングとしても使われていたそうです。

隣接する和館は、ガイドツアー時を除き1階のみが公開されています。約40畳もの大広間からは池泉庭園を望むことができ、洋館とはまた異なる、和の趣に包まれた時間を楽しめます。
旧前田家本邸 洋館
東京都目黒区駒場四丁目3番55号
公式サイト
3. 皇居東御苑(大手町)

東京の中心にありながら、四季の自然と歴史を同時に楽しめる「皇居東御苑」。かつて江戸城の本丸や二の丸が置かれていた場所で、現在は一般公開されており、入園は無料です。都会の喧騒を忘れて静かに散策できます。
敷地の広さは約21万平方メートル。東京ドームに換算するとおよそ4〜5個分にもなり、ゆっくり歩いて回ると1〜2時間ほどかかる広さです。

見どころの一つが天守台跡。堂々と積まれた石垣の上に立つと、その規模の大きさに思わず目を奪われます。高台からは周囲を見渡すことができ、開放感のある景色が広がります。

敷地内にある二の丸庭園は、池を中心に散策路がめぐらされた池泉回遊式庭園。池のまわりには四季折々の花木が植えられ、訪れる季節ごとに異なる表情を楽しめるのも魅力です。
歴史と自然が調和する皇居東御苑は、大人のおでかけにぴったりの場所。心をリセットしたいときに、都心にいながら静かに落ち着いて過ごせる場所です。
皇居東御苑
東京都千代田区千代田1
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4. ガスミュージアム(小平)

1967(昭和42)年4月に開館した、東京ガスが運営する企業博物館「ガスミュージアム」。花小金井駅、東久留米駅、武蔵小金井駅からはいずれもバス利用となるため、アクセスは決して良いとは言えませんが、その分、知る人ぞ知る穴場的な存在です。
敷地に足を踏み入れてまず目を奪われるのが、思わず「ヨーロッパみたい!」と声が出てしまいそうな、赤レンガ造りのクラシカルな建物。写真を撮りたくなる雰囲気に、一気に気分が高まります。
1912(明治45)年に荒川区千住の東京ガス工場に建てられた建物を移設復元した「くらし館」と、1909(明治42)年に文京区本郷に建てられた出張所を移設復元した「ガス灯館」の2棟で構成されています。

屋外には「ガスライトガーデン」と呼ばれる庭園が広がり、パリやロンドン、ドイツで実際に使われていた歴史あるガス灯が18基並びます。これらのガス灯は24時間点灯しているそうで、昼と夜で異なる表情を楽しめるのも魅力です。

「くらし館」の内部は天井が高く、開放感のあるゆったりとした空間。ベンチも設置されているため、休憩しながら見学できます。
展示の中心となっているのは、私たちの暮らしを支えてきたガス器具の歴史。昔の調理器具やストーブなどが並び、ひとつひとつ眺めていると、時代をさかのぼるような感覚に包まれます。

ガスミュージアム
東京都小平市大沼町4-31-25
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5. 神代植物公園 水生植物園(調布)

調布市にある「神代植物公園」は、東京都立として唯一の植物園。本園は有料ですが、すぐ近くにある「水生植物園」は無料で入園できます。東京にいながら、まるで里山を訪れたかのような、どこか懐かしい風景に出会える癒しのスポットです。
園内には水田や湿地が広がり、水生植物が青々と育っています。初夏には、園内入ってすぐのしょうぶ園に白や紫の花菖蒲が咲き、涼やかな景色で出迎えてくれます。

秋になると、園内は白や赤の彼岸花に彩られます。彼岸花の名所として大きく名前が挙がることは少ないものの、水田のまわりに咲くその姿を眺めていると、どこか懐かしい気持ちに包まれます。

さらに園内から小さな山道をのぼっていくと、「深大寺城跡」にたどり着きます。国指定の史跡で、水生植物園の城山地区として公開されているエリアです。
芝生広場の周囲には木陰のベンチが点在し、人も少なめ。静かに過ごしたい日には、これ以上ない心地よさがあります。まるで自分だけの隠れ家を見つけたような気分になります。
神代植物公園 水生植物園
東京都調布市深大寺元町2丁目
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6. フラワーランド(用賀)

砧公園のすぐ近くにある「フラワーランド(瀬田農業公園)」は、無料で入園できる花と緑のガーデン。園内には鑑賞用の花壇や植え込みが丁寧に整えられ、気持ちよく散策を楽しめます。
園内は全部で18のエリアに分かれており、ローズガーデンやバラアーチ、宿根草の庭、ハーブガーデン、果樹の庭、サギソウが咲く水辺、水車と山野草の庭など、見どころも多彩。歩くたびに表情が変わり、まるで絵本の世界を巡っているような気分になります。

なかでも見逃せないのが、バラの季節のローズガーデン。花数も多く、園内でもひときわ華やかな雰囲気に包まれます。

全長約30メートルにわたるバラのアーチも見どころのひとつ。バラが少ない時期でも、足元には色とりどりの花が咲き、花に迎えられるような気持ちでアーチをくぐることができます。
フラワーランド
東京都世田谷区瀬田5-30-1
公式サイト
7. クロネコヤマトミュージアム(品川)

品川駅から徒歩約10分。ヤマト運輸が運営する企業博物館「クロネコヤマトミュージアム」は、私たちの暮らしに欠かせない宅急便の歴史と進化を知ることができるスポットです。
受付から見学スタートまでは係の方の案内がありますが、そのあとは自由見学。6階からスロープを下りながら順路に沿って展示を巡っていくスタイル。

展示では、宅急便誕生の背景をはじめ、時代ごとの取り組みやサービスがどのように形づくられてきたのかを紹介。日常的に利用しているサービスの裏側にある工夫や試行錯誤を知ることができ、物流の奥深さを感じられます。
写真撮影できる場所は3カ所のみと決められており、その一つが「宅急便体験コーナー」です。こちらは子供たちに大人気でしたが、全体としては落ち着いて展示を読み込める内容で、大人のほうがじっくり楽しめる印象を受けました。

見学のあとは、2階に併設された運河沿いのカフェ「スワンカフェ」へ。水辺を望む窓際の席で、クロネコのラテアート付きドリンクや、クロネコが描かれた可愛らしいどら焼きを味わえます。どら焼きは人気のため、売り切れてしまうことも。気になる場合は早めの訪問がおすすめです。
宅急便の歴史を知り、学びと癒しを同時に楽しめる「クロネコヤマトミュージアム」。企業ミュージアムの面白さを体感できる、大人にこそ訪れてほしい無料スポットです。
クロネコヤマトミュージアム
東京都港区港南2-13-26
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8. 旧公衆衛生院(白金台)

旧公衆衛生院は、建築家・内田祥三(うちだ よしかず)氏によって、1938年(昭和13年)に建てられました。重厚感のある外観は、外から眺めるだけでも十分な迫力があります。正面に立つと、美しいシンメトリー(左右対称)の造りが際立ち、建築の存在感に圧倒されます。
現在は、「港区立郷土歴史館」を中心とした複合施設「ゆかしの杜」として活用されています。「港区立郷土歴史館」は有料ですが、館内には無料で見学できるエリアも多く、建物そのものを楽しめるのが魅力です。

見学できるエリアは6階まであり、なかでも見どころとなっているのが旧講堂。340席がずらりと並ぶ空間は圧巻で、椅子のクッション部分と天井板以外は、建設当初の部材がそのまま残されているそうです。
クラシカルな雰囲気は写真映えしますが、窓から望む景色も美しく、ぜひ現地でじっくり味わってほしいポイント。時間を忘れて見入ってしまいます。
そのほか、中央ホールも思わずカメラを向けたくなる空間。旧公衆衛生院は映画やドラマのロケ地としても数多く使われており、この場所に立つと「どこかで見たことがあるかも」と感じる人も多いはずです。

現在はコミュニケーションルームとして使われている旧図書閲覧室には、触ることができるミンククジラの骨格標本が展示されています。実物を前にすると、その大きさに思わず驚かされます。
また、1階の旧食堂はカフェ「ベジタブル ライフ」として営業中。歴史ある建物のなかで、体にやさしいランチやカフェタイムを楽しめるのも、立ち寄りたくなる理由のひとつです。
旧公衆衛生院(ゆかしの杜)
東京都港区白金台4-6-2
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9. JRA馬事公苑(桜新町)

「JRA馬事公苑」は、日本中央競馬会(JRA)が運営する、日本の馬事文化の発展を担う施設。7年間の休苑期間を経て、2023年11月にリニューアルオープンしました。敷地面積は約18万平方メートルと広大で、東京ドーム約4個分に相当します。
正門を入るとまず目に入るのが、親子の馬の像。その先には、開放感あふれる芝生広場が広がります。休日にはレジャーシートを広げ、ピクニックを楽しむ人の姿も多く見られ、のびのびとした空気が流れています。

園内には、思わず足を止めたくなる可愛らしいツリーハウスも。ツリーハウスのあるエリアは「武蔵野自然林」と呼ばれ、原生林を残した自然豊かな森が広がっています。森の中には空中歩廊(フォレストパス)が巡らされ、歩くだけでもちょっとした冒険気分を味わえます。

そして、馬事公苑ならではの魅力が、馬との距離の近さ。週末には馬術大会が開催されることもあり、タイミングが合えば迫力ある競技を間近で観戦できます。馬術の練習風景も見学でき、優雅に駆ける馬の姿に思わず目を奪われます。
自然のなかでくつろぎながら、馬事文化にもふれられる「JRA馬事公苑」。のんびりピクニックを楽しむのもよし、馬術観戦で非日常を味わうのもよし。大人の週末にぴったりの、無料で楽しめるおでかけスポットです。
JRA馬事公苑
東京都世田谷区上用賀2-1-1
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10. 市谷の杜 本と活字館

大日本印刷株式会社(DNP)が運営する「市谷の杜 本と活字館」は、2020年11月に開館した印刷文化のミュージアムです。印刷の原点である活版印刷の現場を一部再現しながら、印刷や本づくりの工程をわかりやすく紹介しています。
ひときわ目を引くのが、”時計台”の愛称で親しまれてきた建物の外観。旧営業所棟を、大正15年(1926年)の創業時の姿に修復・復元したものです。

活版印刷とは、活字を一つひとつ組み合わせて版をつくり、印刷する方法のこと。職人さんが活字をひろい、印刷機をまわす「印刷所」がある他、活字の型をつくるところから製本まで、本づくりの流れを順番に見てまわります。
予約不要で参加できる「しおりの印刷体験」も人気のコンテンツ。卓上活版印刷機(テキン)を使い、色づけ作業を行います。企画展にあわせたデザインを印刷でき、大人でも思わず夢中になってしまう楽しさ。自分の手が加わったしおりは、読書の時間を少し特別なものにしてくれます。
このほか、予約制の本格的なワークショップも随時開催されているので、気になる方は公式サイトをチェックしてみてください。

館内にはカフェも併設されており、地下フロアのテーブル席からは中庭を眺めながら過ごせます。見学後にゆっくり余韻を楽しむのにもぴったりです。
市谷の杜 本と活字館
東京都新宿区市谷加賀町1-1-1
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11. 江戸川区自然動物園(西葛西)

東京メトロ東西線「西葛西駅」から徒歩約15分の場所にある「行船公園」。その一角にあるのが「江戸川区自然動物園」です。1983年(昭和58年)5月5日、都内で初めての区立動物園として開園しました。
一般的な動物園と比べると規模はコンパクトですが、飼育されている動物は59種・約640点。無料とは思えないほど、見応えのある展示が楽しめます。
正門から入ってすぐ出会えるのが、フンボルトペンギン。無料なのにペンギンを見られるなんて嬉しい驚きです。

園内には、愛らしい姿のレッサーパンダも。木の上で過ごしていることが多いそうなので、訪れた際はぜひ視線を上にも向けてみてください。

江戸川区自然動物園の大きな魅力は、コンパクトな園内だからこそ感じられる、動物たちとの距離の近さ。檻のない展示も多く、元気いっぱいに動き回るブラウンケナガクモザルの姿には、思わずドキッとするほどの迫力があります。
モルモットやうさぎ、ヤギとふれあえる「ふれあいコーナー」もあり、動物たちをより身近に感じられるのも特徴。気軽に立ち寄れて、しっかり楽しめる、貴重な無料スポットです。
江戸川区自然動物園
東京都江戸川区北葛西3-2-1
公式サイト




