いつか会いたいと恋焦がれていた「東京大仏」に、ようやく会いに行ってきました。
東京大仏が鎮座するのは板橋区にある「乗蓮寺」。東武東上線「下赤塚駅」や東京メトロ副都心線「地下鉄赤塚駅」から徒歩約20分ほどの場所にあります。
少し小高い場所に境内が広がっている

東京大仏が鎮座する「乗蓮寺」は、ちょっとした高台に境内が広がります。正門をくぐり山門までも少し石段があり、山門の先にも石段がつづきます。

山門をくぐって振り返ると、左手に「多聞天尊像」、右手に「広目天尊像」。両者は仏教における四天王のうちのふたりです。多聞天は宝塔を捧げて福徳をもたらすといわれ、広目天は筆と巻物を持ち、知恵や見通す力を象徴しています。

山門から石段をのぼると静けさが漂う境内が広がります。豊かな緑に囲まれるなか、本堂と、その隣に弁天堂、その奥には寿豊殿の姿が見えます。

立派な本堂。乗蓮寺は、かつて板橋区仲宿にありましたが、1971年(昭和46年)から始まった国道17号線の拡幅や首都高速・環状線の建設などの影響を受け、赤塚城二の丸跡にあたる現在地へ移転しました。

本堂を参拝したあと振り返ると、青々とした緑が清々しい境内の景色が広がります。左手には東京大仏の姿も。

本堂のすぐ隣にある弁天堂。黄金の屋根が輝いていて、思わず目を奪われてしまいます。
いよいよ東京大仏とご対面

いよいよ東京大仏とご対面!緑に囲まれて、朗らかで優しいお顔をしていらっしゃいます。
乗蓮寺は完全に移転するまで7年近くかかったそうですが、その際に「新しい寺の象徴をつくろう」という思いから、1977年(昭和52年)に建立されたのが東京大仏。
戦争や震災の犠牲者を慰霊し、平和を願う祈りを込めて建立されました。

蓮台や基壇も含めて高さは約12.5メートルの東京大仏。かつては青銅製坐像として、奈良の大仏、鎌倉の大仏に次いで3番目に大きな大仏だったと言います。ちなみに奈良の大仏は台座を含めて約18メートル、鎌倉の大仏は台座を含めて約13.35メートル。
かつて3番目の大きさだった東京大仏も、現在は4番目。その理由は、2018年(平成30年)に、台座を含めて高さ18メートルの鹿野大仏(ろくやだいぶつ)が、東京都西多摩郡に建設されたからです。
それにしても、ずっと見ていたくなるような、ほっとする安心感を与えてくれるような雰囲気をまとっています。
境内には石仏がたくさんある

境内を散策していると、石仏をとても多く見かけます。その中の8体は、かつて伊勢津藩主・藤堂家が江戸の染井に構えていた屋敷に安置されていたもので、今では板橋区の登録有形文化財として大切に受け継がれています。
いくつか写真を撮ったので、ご紹介。まずは、何でも耐える「がまんの鬼」。中門の近くにありました。

その近くには、行者の元祖「(えんのおづぬ)」。

「役の小角」の隣には三途の川の「奪衣婆(だつえば)」がいました。

さらにその隣には、知恵を授ける「文殊菩薩」。
まだまだ見どころがある

山門をくぐって石段をのぼらずに右手に進むと、鮮やかな朱色が印象的な「福寿観音堂」があります。その隣には鐘楼。
福寿観音堂には、長崎の平和祈念像で知られる彫刻家・北村西望が手がけた、金色に輝く観音像が安置されています。

近くには、緑の中からひょっこり顔を出している七福神様。

正門の手前には「閻魔堂」もあります。ここには閻魔大王が祀られ、その隣には死者の衣をはぎ取る奪衣婆(だつえば)、さらに前方には十王の像も並んでいます。十王とは、亡くなった人の魂を冥界で裁く十人の王のことです。
おわりに

和南亭でおみくじを引くことができます。シンプルなおみくじで、100円でした。
駅からバスでもアクセスできますが、歩けば20分ほど。距離はあるものの、緑に囲まれ、静かで落ち着いた境内で過ごせばその疲れもどこかへ飛んでいきます。
東京を代表するような名前のついた大仏様を参拝でき、ちょっとした観光気分も味わえました。
住所・アクセス/関連サイト
東京都板橋区赤塚5-28-3
東武東上線「下赤塚駅」より徒歩約20分
東京メトロ副都心線「地下鉄赤塚駅」より徒歩約20分
都営三田線「新高島平駅」より徒歩約25分
都営三田線「高島平駅」より徒歩約30分
東武東上線「成増駅」または「地下鉄成増駅」よりバス乗車、「赤塚八丁目」で下車し徒歩約3分