東京23区唯一の渓谷である「等々力渓谷」は、夏には避暑スポットとしても人気の場所です。しかし2025年7月現在、遊歩道は通行止め。公式サイトによると2025年中には全面開通予定とのことですが、じつは遊歩道を歩けなくても、等々力渓谷は楽しめるんです。
竹林も広がる等々力渓谷の日本庭園をさんぽ

遊歩道が閉鎖していても、渓谷の南側にある日本庭園は通常通り入園できます。3つある入口のうち、谷沢川沿いにある「かぶき門」から入ると、竹林のあいだを縫うように石段がつづき、さっそく広がる趣のある景色に気分は高揚。

日本庭園は高低差があり、かぶき門からはどんどん上に登っていく感じ。ちょうど中間あたりには小さな池があり、石灯籠が設置されています。池泉庭園としての趣を感じますね。

さらに登ると、休憩室として開放している書院があります。穴場感があり訪れる人も少なく、縁側でのんびり寛ぐのも最高。セルフサービスのお茶もありました。

書院のあたりにはビロードの苔が美しく広がりうっとり。
ところでこの庭園は、昭和を代表する作庭家・飯田十基によって1973年(昭和48年)に手がけられたもの。「雑木の庭」の提唱者として知られる人物で、自然の姿をそのまま活かす庭づくりを得意としています。つくりこまれていないように見える自然な美しさを、こちらの庭園でも感じることができます。
茅葺き屋根の茶屋「雪月花」で抹茶かき氷

青もみじが日陰をつくってくれて涼しさを感じる「雪月花」は、避暑にぴったり。赤い野点傘や茅葺き屋根の建物がとても風情があって、旅行気分を味わえます。

ほとんどお客さんが店内で過ごすなか、私はあえて屋外のベンチでいただくことに。青々とした木々に囲まれていただくかき氷は、より一層、夏気分が高まります。(ただし、夏は虫除け対策を忘れずに!)
食べ進めるうちに体の中からすっかり冷えて、屋外で過ごしてちょうどいい感じになりました。
雪月花の抹茶かき氷(宇治抹茶氷)は私にとって甘さが絶妙で、おかわりしたいくらいの美味しさ。もっちもちの白玉もたまりません。

雪月花は黒板アートがものすごく美しいのですが、じつは私、この黒板アートを見て「宇治金時氷を食べよう!」と決めたのでした。
開放的な景色を眺められる「等々力不動尊」

最後に訪れたのは、雪月花の脇にある石段をのぼった場所にある「等々力不動尊」。近くにある満願寺の別院であり、正式名称を「滝轟山明王院」と言います。
境内には存在感のある木組みの舞台が設置されており、秋には舞台から眺める紅葉が美しいスポットです。

舞台は広々としており開放的!青い空と、豊かな緑が広がるとても気持ちのいい景色が広がります。ただ、そのまま日差しが当たるので、夏は少し暑いですが……。

舞台から崖の下へ降りていくと、舞台を下から眺めることができます。本当にたくさんの緑に囲まれていて、癒される景色です。

崖の下を散策していると、弁天堂と弁天池がありました。青もみじが多いかぶさり趣があります。
等々力渓谷の遊歩道を歩けなくても風流な散歩が楽しめる

遊歩道が閉鎖される前にも何度か訪れていた「等々力渓谷」。けれど、日本庭園や茶屋「雪月花」までは足を伸ばしたことがありませんでした。
閉鎖をきっかけに、はじめて庭園や茶屋に立ち寄ってみると、こんなにも美しい景色や趣のある空間が広がっていたことに驚きました。閉鎖されてからは、2024年の紅葉シーズン、そして今回と、二度訪れています。
遊歩道を歩ける日が戻ってくるのが、ますます待ち遠しくなりました。