東京23区に、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような風景が広がる公園がある──そう聞いて行ってきたのは、江東区木場にある「木場親水公園」です。
もともと木場は、全国から運ばれてきた木材を集積・保管する町として発展してきました。その面影を残すように、かつて木材を運んでいた運河の跡が整備され、今では水辺と緑を楽しめる親水公園に生まれ変わりました。
木場駅から散策スタート!高速道路の下を歩く

散策のスタートは東京メトロ東西線「木場駅」の3番出口から。徒歩わずか2分ほどで「木場親水公園」に到着します。公園は全長約900メートルと細長くのびており、園内図を眺めると上下2段に分かれて掲示されているのが印象的。

さて、最初は高速道路の下を歩きます。日陰をつくってくれるので、暑い日でも歩きやすいです。
江戸情緒はもう少し先のお楽しみといったところですが、石垣や木の囲いが配されていて、さりげなく風情を添えています。これから先にどんな景色が待っているのか、期待をふくらませながら歩みを進めていきました。

足元に目をやると、敷石に「い・ろ・は・に・ほ・へ・と…」と「いろは歌」の文字が刻まれています。

やはり、どことなく風情を感じる景色がつづきます。

川には趣を感じさせる木の橋が架けられ、柳が風情を添えます。

「築島橋」の手前で高速道路の覆いが途切れ、視界がぐっと広がります。橋はずいぶん低く感じられますが、この先は遊歩道がゆるやかに下るため、橋の下をくぐる形になっています。

築島橋の手前から、「木場親水公園護岸ギャラリー」と題された、壁に絵が描かれた道がつづきます。川が見えない区間を、こうしてアートで楽しませようとしてくれる心遣いにほっこりしますね。

アートを楽しみながら歩いていると、「木場橋」が見えてきました。この橋をくぐり終えると、いよいよ江戸情緒あふれる風景に出会えます。
木場橋をくぐると江戸の景色が広がっていた

「木場親水公園護岸ギャラリー」を抜けると一気に視界が開け、目の前に広がるのは江戸情緒ただよう風景。まるでトンネルを抜けてタイムスリップしたかのような感覚に包まれます。
左手には川に浮かぶ和船、船が格納されている小屋の上には柳の枝が覆いかぶさるように揺れ、右手には木造の休憩所やウッドデッキ。さらに視線を奥にやると、優美な曲線を描く太鼓橋が見え、「江戸だ!」と心のなかで叫んでしまいました。

川面が近くて、水辺をとても間近に感じられます。
川を眺めるようにベンチが置かれた休憩所がありますが、ウッドデッキに立つ建物のほうにはベンチはなく、おそらく江戸時代の渡し場をイメージして造られているのでしょう。歴史への想像をふくらませながら歩くと、さらに情緒が深まります。

散歩を進めていくと、いよいよ公園のシンボルとも言える太鼓橋「鶴の橋」にたどり着きます。柳が風に揺れる姿と合わせて写真に収めると、まるで江戸絵巻のような一枚に。

橋の上から振り返ると、川沿いに柳がそよぎ、しっとりとした風流な景色が広がります。しかし、その奥には高速道路が走っていて、「やっぱりここは東京なんだ」と現実に引き戻されるような瞬間でもあります。

さらに進むと常夜灯を模したオブジェが現れます。江戸時代の川辺を思わせるようなデザインで、散歩道の情緒をより一層引き立てています。

公園自体はこの先も少し続き、子どもたちに人気のじゃぶじゃぶ池などもありますが、今回は川沿い散歩の終点で足を止めました。振り返ると、歩いてきた道の先に鶴の橋や木造の休憩所、常夜灯を模したオブジェが見え、江戸情緒を感じさせる景色にしばし見入ってしまいました。
住所・アクセス/関連サイト
東京都江東区木場3-18
東京メトロ東西線「木場駅」3番出口より徒歩2分