東京メトロ南北線「本駒込駅」周辺には、歴史を感じるスポットや、静かにくつろげる癒しの場所が点在しています。
東大前や根津、千駄木にも歩いて行ける距離で、下町の情緒と文化の香りが交わるエリア。今回は、そんな本駒込周辺で立ち寄りたい見どころをご紹介します。
1. 吉祥寺の由来となったお寺が!諏訪山吉祥寺

武蔵野市にある「吉祥寺」。言わずと知れた、住みたい街ランキングで常に上位にランクインする人気の街です。その地名の由来となったお寺が、本駒込にある「諏訪山吉祥寺」です。
創建は室町時代の長禄2年(1458年)ごろ。太田道灌が江戸城を築いた際、井戸を掘ったところ「吉祥」という文字が刻まれた石が見つかり、それを吉兆として「吉祥寺」と名付けたと伝えられています。
広々とした境内はとても開放的!

木々に覆われた気持ちのいい参道を進んでいくと、大仏様がいらっしゃいました。「吉祥寺大仏」と呼ばれるそのお姿は、1722年(享保7年)に鋳造された青銅製の釈迦如来坐像。像高2.93メートル、総高4.17メートルあります。

見どころのひとつが、文京区指定有形文化財である「経蔵」。江戸時代に曹洞宗の修行所「旃檀林(せんだんりん)」として知られていたころの図書館のような建物で、仏教の経典を保管していた場所です。
内部には経典を納める八角形の回転式書架「転輪蔵(てんりんぞう)」があり、江戸時代の建築として高い価値を持ちます。
諏訪山吉祥寺
東京都文京区本駒込3-19-17
諏訪山吉祥寺(文京区公式サイト)
2. 富士塚の上に社殿がある!駒込富士神社

諏訪山吉祥寺からも近い場所にある「駒込富士神社」は、木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)をまつる神社で、「駒込のお富士さん」として親しまれています。
天正元年(1573年)ごろ、駿河の富士浅間社を本郷の地に勧請して創建されたのが始まりで、寛永年間(1628〜1629年)に加賀藩前田家の上屋敷建設に伴い、現在地へと移されました。

この神社の大きな特徴は、富士山をかたどった「富士塚」の上に社殿が建てられていること。
江戸時代、富士山まで参拝に行けない人々が、この塚に登って富士登拝の代わりとしたといわれています。そのため、古くから富士信仰や富士講と深く結びつき、「お富士さん詣り」の場として多くの人に親しまれてきました。

社殿はとてもシンプルです。扉の一部には小さな投げ入れ口が設けられており、そこからお賽銭をそっと入れて参拝します。
「御朱印は富士神社山開き大祭の期間を除き、近くの天祖神社でお受けください」との案内書きがあり、行き方も記されています。
駒込富士神社
東京都文京区本駒込5-7-20
3. 全国に36件しかない国の特別名勝のひとつ!六義園

国の名勝は、全国に400件以上ありますが、特別名勝はわずか36件のみ!その一つが「六義園(りくぎえん)」です。
元禄時代に、徳川綱吉の側用人だった柳澤吉保(やなぎさわよしやす)によって造られた回遊式築山泉水庭園で、その広さは87,809.41平方メートル、東京ドーム約2個分にあたるスケールを誇ります。
「大泉水(だいせんすい)」と呼ばれる大きな池を中心に、小高い築山や優美な橋、曲がりくねる小道、茶屋などが巧みに配置され、歩くほどに風景が移り変わるのが魅力です。

年中、美しい景観が楽しめる六義園ですが、とくにツツジの季節は圧巻です。標高35mの「藤代峠(ふじしろとうげ)」の斜面一面が色鮮やかに染まり、圧倒的な美しさに包まれます。

園内には、風情を感じる数寄屋風の「吹上茶屋」があります。穏やかな「大泉水」を眺めながら、季節の生菓子とお抹茶でひと息つく時間は、慌ただしい日常を忘れさせてくれます。
六義園
東京都文京区本駒込6-16-3
公式サイト
4. 圧巻の千本鳥居をくぐる!根津神社

文京区根津にある「根津神社(ねづじんじゃ)」は、約1900年の歴史をもつ古社です。創建は日本武尊(やまとたけるのみこと)によると伝わり、のちに江戸幕府五代将軍・徳川綱吉が、養子・徳松の守り神として現在の地に社殿を造営しました。
権現造りの社殿群は国の重要文化財に指定され、当時の華やかな装飾美を今に伝えています。

赤い鳥居が連なるのは、境内の乙女稲荷神社へ続く小道。稲荷神社は五穀豊穣・商売繁盛の神様として有名ですが、乙女稲荷神社はとくに縁結びのご利益があるとされ、女性から人気を集めています。

六義園と同じく、つつじの名所として名高い「根津神社」。千本鳥居に寄り添うように広がるつつじ苑には、約100種・3,000株ものつつじが咲き誇り、鳥居の赤とつつじの華やかな色彩が織りなす景観が絶景だと話題です。
根津神社
東京都文京区根津1-28-9
公式サイト
5. カッパの目撃情報も?!須藤公園

文京区の公園として整備されている「須藤公園」ですが、もとは大聖寺藩主・松平備後守の屋敷があった場所です。
明治維新ののちは、長州出身の政治家・品川弥二郎子爵の邸宅になり、さらに明治22年(1889年)に実業家の須藤吉右衛門が買い取り、庭園は大名庭園の趣を残したまま保存されました。
その後、須藤家が東京市(現在の東京都)に寄付したことの厚意から、「須藤公園」と名付けられたそう。
面積は4,824平方メートルと小規模ながら、高低差のある地形をいかした変化に富む造りが魅力です。中心には池を配し、池泉回遊式庭園として四季折々の風情を楽しめます。

日本庭園の趣を感じられる静かで落ち着いた公園ですが、一瞬目を疑うような面白い看板を見つけました。そこには「かっぱに注意」と書かれています。
実際、池にカッパがいる(石でできた小さなカッパの像がある)らしいのですが…私が訪れたときは水面にたくさんの葉っぱが浮かんでいて、その姿を見ることはできませんでした。
近くには「命名 への河童」という謎の石碑も立っています。

池には小さな中ノ島が浮かび、朱色の橋が優雅に架けられています。中ノ島には弁財天がお祀りされており、そばには小さな鳥居も。この鳥居は、須藤吉右衛門が買い取ったあとに建てられたものだそう。
須藤公園
東京都文京区千駄木3-4
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6. かわいい台湾料理店を見つけた!also

最後にグルメスポットもご紹介させてください!台湾料理店「also(オルソー)」は、本駒込駅からは徒歩5分くらいですが、白山駅からはすぐです。
まるで映画のセットのように可愛らしい外観で、扉を開ける前から胸が高鳴ります。

店内はモダンで落ち着いた雰囲気ですが、テーブルや椅子の感じ、プラスチックのお箸やコップなどに、どこか台湾のローカル食堂の温もりを感じます。

私が訪れたときは平日限定のランチセットがありましたが、平日のランチ営業は2025年9月で一旦終了とのこと。
なお、週末はランチタイムから営業しています。
とくにおすすめしたいのが、台湾ワンタン。私がいただいたのは、豚肉の台湾ワンタンでした。一口食べると、肉厚でジューシーな旨みが広がり、思わず「おかわりしたい」と感じる美味しさでした。
そして台湾ビールの充実度に驚きます。夜に、ちょっとした飲みに利用するのも大アリです。
also
東京都文京区白山5-32-13
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