忙しい日常を離れて、美しい庭園を眺めながら抹茶やコーヒーを味わう。東京で心からリラックスできる、とっておきのスポットをご紹介します。
1. 花畑記念庭園(竹ノ塚)

足立区の「花畑記念庭園」は、区制50周年を記念して整備された日本庭園です。入園無料でありながら、本格的な庭園美を堪能できる穏やかな空間が広がっています。
池のまわりを巡る園路が配された「池泉回遊式」の庭園には、繊細な石組みや四季折々の植栽など、日本庭園ならではの意匠が随所にみられます。散策しているうちに、自然と心がほどけていくような心地よさを感じられます。

園内にある集会施設「桜花亭」にはカフェが併設されており、庭園を眺めながらランチタイムやカフェタイムを過ごすことができます。

喫茶メニューは充実しており、デザートだけでも黒蜜きなこ・抹茶のロールケーキ、フルーツあんみつ、おしるこ、白玉アイスなど、和の趣を感じる品々が揃っています。

店内席も充実していますが、庭園を眺めながら過ごすなら、ぜひテラス席へ。心地よく響く滝の音をBGMに、とてもリラックした時間を過ごすことができます。
花畑記念庭園
東京都足立区花畑4-40-1
公式サイト
2. 肥後細川庭園(江戸川橋)

ホテル椿山荘東京に隣接する「肥後細川庭園」は、入園無料で楽しめる都心の隠れた名園です。
かつてこの地には、熊本藩主・細川家の下屋敷がありました。「肥後」は現在の熊本県にあたる旧国名で、庭園には細川家ゆかりの歴史が今も色濃く息づいています。

庭園のシンボルとなっているのが「松聲閣(しょうせいかく)」。明治20年頃に細川家の学問所として建てられた建物です。大正14年に大規模な改修を経て、平成28年1月にリニューアルされました。
2階は庭園を一望できる展望所となっており、屋内からゆったりと美しい景色を堪能できます。そして1階には、喫茶室「椿」があります。

喫茶室の大きな窓からは、手入れの行き届いた庭園の景色が広がります。訪れた日は他に利用客がおらず、この贅沢な空間と眺めを独り占めできる幸運に恵まれました。

抹茶とともにいただけるのは、「加勢以多(かせいた)」という細川家秘伝の銘菓を復元したお菓子。もち米のおぼろ種に、カリンを使った羊羹をはさんだ上品な一品です。松聲閣の方が丁寧にお菓子の説明をしてくださいました。
肥後細川庭園
東京都文京区目白台1-1-2
公式サイト
3. 六義園(駒込)

元禄時代に、徳川綱吉の側用人だった柳澤吉保(やなぎさわよしやす)によって造られた回遊式築山泉水庭園「六義園(りくぎえん)」。その広さは87,809.41平方メートル、東京ドーム約2個分という壮大なスケールを誇ります。
国の特別名勝に指定された園内は、「大泉水(だいせんすい)」と呼ばれる大きな池を中心に、小高い築山や優美な橋、曲がりくねる小道、茶屋などが巧みに配置されています。歩を進めるごとに風景が移り変わり、江戸時代の庭園美を体感できるのが魅力です。

お抹茶がいただけるのは、数寄屋風の風情ある佇まいの「吹上茶屋」です。

吹上茶屋は、目の前に穏やかな大泉水が広がる絶好のロケーション。水面に映る木々の緑を眺めながらお抹茶をいただく時間は、東京の日本庭園でも特に贅沢なひとときといえます。

ベンチに腰を下ろし、抹茶と季節の上生菓子を味わいながら過ごしていると、心が静かに整っていくような感覚に包まれます。
六義園
東京都文京区本駒込6-16-3
公式サイト
4. 浜離宮恩賜庭園(汐留)

東京都内で最も広大な大名庭園である「浜離宮恩賜庭園」。その面積は約25万平方メートルで、東京ドーム5個分以上というスケールを誇ります。都心にありながらこれほどの広さと静けさに包まれる場所は貴重で、都内に暮らす人々にとっても、手軽に非日常を味わえる特別な空間です。
また、浜離宮恩賜庭園は「小石川後楽園」とともに、国の特別史跡と特別名勝の二重指定を受けています。

この庭園を象徴する景観が、海水を引き入れた「潮入の池」です。東京湾の水位に合わせて水門を開閉し、潮の満ち引きとともに表情を変える造園技法が見どころとなっています。
その「潮入の池」に浮かぶように建つのが、お抹茶がいただける「中島の御茶屋」です。

こちらでは、季節の上生菓子とお抹茶のセット、または、どら焼きとお抹茶のセットがいただけます。テラス席からは目の前に広がる大きな池の景色を存分に堪能でき、都心とは思えない開放感に満ちています。
もちろん、落ち着いた雰囲気の店内席もご用意されています。
浜離宮恩賜庭園
東京都中央区浜離宮庭園1-1
公式サイト
5. 小石川後楽園(水道橋)

国の特別史跡、そして特別名勝にも指定されている「小石川後楽園(こいしかわこうらくえん)」。特別史跡と特別名勝の二重指定を受けている場所は全国でもわずか9ヶ所しかなく、その希少性からも一度は訪れる価値のある庭園です。
小石川後楽園は、江戸時代に水戸徳川家の江戸屋敷内に造られたもので、水戸黄門として知られる二代藩主・光圀(みつくに)の代に完成しました。あの水戸黄門として知られる人物が関わった庭園と聞くだけで、ぐっと親しみやすくなるのではないでしょうか。

お抹茶がいただけるのは、西門の近くにある「涵徳亭(かんとくてい)」です。小石川後楽園が造られた頃に建てられたもので、当時は茅葺の茶室にガラスの障子を使っていたそう。現在のものは1986年(昭和61年)に再建された四代目になります。

この涵徳亭は現在「びいどろ茶寮」として利用されており、ランチや喫茶を楽しめるスペースになっています。
喫茶では、抹茶や徳川将軍珈琲とともに和菓子をいただくことができ、庭園散策の合間にひと息つくのにぴったりです。ただし、店内から庭園を見渡すほどの景色ではなく、あくまで休憩スペースとして利用するのがよいでしょう。
小石川後楽園
東京都文京区後楽1-6-6
公式サイト
6. 山本亭(柴又)

寅さんの街「柴又」にある「山本亭」は、カメラ部品の製造を手がけていた山本工場の創立者・山本栄之助氏の自宅でした。もともとは台東区にありましたが、1923年(大正12年)の関東大震災後にこの地に移転。その後は四代にわたって住み継がれてきましたが、1988年(昭和63年)に葛飾区が取得し、1991年(平成3年)の柴又公園の開園とともに一般公開がはじまりました。
館内には和室が6部屋あり、どの部屋からも廊下越しに庭園を望める設計になっています。

山本亭の日本庭園は、アメリカの日本庭園専門誌「数寄屋リビングマガジン/ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」が発表する日本庭園ランキングで、毎年上位に選ばれる名園です。最新の2024年版でも全国3位にランクイン。
歴史や知名度だけでなく、現在の美しさや管理状態を基準に評価されるため、“いま美しい庭”として高い支持を集めています。
庭園へ立ち入ることはできませんが、縁側のすぐ先に広がるため、間近でその美しさを堪能できます。

和室にはずらりとテーブルが置かれており、ゆったりとカフェタイムを過ごすことができます。私が選んだのは、冷抹茶と練り切りのセット。抹茶のほろ苦さと和菓子の上品な甘さが絶妙に絡み合い、穏やかな時間をより豊かにしてくれます。コーヒーも用意されていますよ。
大きく取られたガラス窓からは日差しがたっぷり入り、明るく開放感のある空間が広がります。庭園を眺めながらひと息つくひとときは、心が静かに整っていくような心地よさに包まれます。
山本亭
東京都葛飾区柴又7-19-32
公式サイト(外部リンク)
7. 昭和記念公園 日本庭園(立川)

総面積約180ヘクタールのうち、169.4ヘクタールが一般公開されている「昭和記念公園」。その広さはなんと東京ドーム約36個分にもおよび、まさに圧倒的なスケールを誇ります。そんな広大な公園の一角に、日本庭園があるのをご存じでしょうか。
園内の北側に広がる日本庭園は約59,000平方メートルの大きさで、日本庭園だけでも東京ドーム約1.3個分あります。

お抹茶がいただけるのは、池の西側にある「歓楓亭(かんふうてい)」です。銅板葺き木造平屋建ての数寄屋建築の茶室で、茶道や俳句などを楽しむ場として利用することもできます。

店内の大きく取られた窓からは、まるで額縁の絵のような、美しい庭園の景色を眺めることができます。池に架かる橋や雪吊りもふくめて、園内を見渡すことができます。

歓楓亭では、抹茶とお菓子(季節ごとの上生菓子)のセットがいただけます。四季折々の風景を眺めながら過ごす、静かなひとときです。
国営昭和記念公園
東京都立川市緑町3173
公式サイト
8. 鶴川香山園(鶴川)

2025年1月25日に開園した「鶴川香山園」は、1794年(寛政6年)に創設された神蔵灸治所(しんぞうきゅうじしょ)、いわゆる“お灸点”として地元に親しまれてきた場所です。
2015年までは私設庭園や美術館として運営されていた時期もあり、NHK大河ドラマのロケ地として使われたこともあるそうです。
その後、町田市が敷地を譲り受け、公共の施設として再整備され、2025年1月25日に改めて開園しました。

敷地内には、1906年(明治39年)に建てられた「瑞香殿(ずいこうでん)」があります。寄棟造・本瓦形銅板葺きの木造建築で、内装も含めて書院造の趣ある建築です。
現在は地元・町田市の旬の地場食材を活かしたレストラン「桜梅桃李」として利用されており、本格的な和食ランチやカフェメニューを楽しむことができます。

私は季節のパウンドケーキとドリンクセットをいただきましたが、まず心をつかまれたのは食器。まるでおしゃれなカフェを訪れたようなデザインで、思わず嬉しくなってしまいました。
そして何より特別なのが、瑞香殿の広い窓越しに見える庭園の景色です。穏やかな緑を眺めながらチャイとパウンドケーキでのんびり過ごしていると、いつも慌ただしく過ぎていく日常がふっと遠のくようでした。
鶴川香山園
東京都町田市能ヶ谷2-17
公式サイト




