秋のお彼岸の頃に咲くから「彼岸花」。別名「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」と呼ばれるこの花は、燃えるような赤が印象的です。その艶やかな姿はどこか神秘的で、群生する様子は思わず足を止めて見入ってしまいます。
東京にも、そんな彼岸花が美しく咲き誇る名所がいくつかありますが、ここでは、私が実際に訪れた彼岸花スポットをご紹介します。
1. 野川公園(新小金井)

調布市にある「野川公園」は、約40万平方メートル(東京ドーム4.7個分)もの広さを誇る公園です。そんな広大な園内で、彼岸花を見られるのは園内の北地区にある「自然観察園」です。入園は無料。

武蔵野の自然をそのまま残した静かなエリアで、湧き水や湿地、雑木林など多様な環境が広がり、四季折々の植物を観察できます。木製の園路が設けられており、歩みを進めていくと赤い絨毯が見えてきて思わず興奮してしまいます。

群生しているエリアはそこまで大きくはありませんが、目の前に広がる真っ赤な景色を見ていると心が躍ります。近年は猛暑の影響で開花時期が遅れているそう。野川公園の公式サイトでは開花状況をお知らせしてくれているので、そちらを目安に訪れるといいでしょう。
時期によっては白い彼岸花も見ることができます。
野川公園
東京都調布市野水一・二丁目ほか
公式サイト
2. 神代植物公園 水生植物園(調布)

調布市にある「神代植物公園」は、広さ48万平方メートル(東京ドーム約10個分)もの広大な公園。本園は有料ですが、その近くには無料で入園できる「水生植物園」があります。
湿地のなかに木道が整備されており、自然の中をのんびり歩くのが気持ちのいい場所。東京にいることを忘れてしまいそうな、里山のような風景が広がります。

園内で、彼岸花が咲いている場所は、いくつかあります。その一つが、入口入ってすぐ。初夏には花菖蒲が美しく咲く「はなしょうぶ園」の脇を、真っ赤な彼岸花が彩りを添えます。弧を描くように彼岸花が伸び、思わず心のなかで「彼岸花ロードだ!」と叫んでしまいます。

こちらは白い彼岸花が咲いているエリアです。すぐ近くにあずまやがあり、腰をおろしながらゆっくりと彼岸花を鑑賞できます。

私が訪れたとき、園内でもっとも彼岸花が咲いていたのが、田んぼの脇に咲いている彼岸花。稲もちょうど黄金色になっていて、コントラストがとても美しいです。
神代植物公園 水生植物園
東京都調布市深大寺元町2丁目
公式サイト
3. 郷土の森博物館(分倍河原)

東京都府中市にある「府中市郷土の森博物館」は、博物館と広大な自然公園が一体となった施設です。
江戸から昭和にかけての歴史的建物を移築・復元したエリアや、プラネタリウムを備える本館もありながら、梅園や池、小川など豊かな自然が広がり、四季折々の花々が訪れる人を楽しませてくれます。

秋の見どころは、園内を彩る真っ赤な彼岸花!最初はわずか1万株から始まった植栽も、今ではなんと約40万株が咲き誇るまでになりました。
なかでも、最もたくさん彼岸花が咲くのが、大階段の上に広がる「梅園」です。見渡す限り、真っ赤な絨毯が広がる景色にはただただ圧倒されます。

そして、白い彼岸花が咲くのが「田んぼ」近くの水路沿いです。園内で白い彼岸花が見られる場所は限られているので、とても貴重なスポット。さらさら流れる水と、ぽつりぽつりと咲く白花を眺めていると、時間の流れがゆっくりに感じられます。

また、復元建物と一緒に彼岸花を楽しめる場所も、歴史的な景観と花のコントラストがのどかな情景を生み出しています。

府中市郷土の森博物館
東京都府中市南町6-32
公式サイト