東京には紅葉やイチョウのスポットが数多くありますが、今回はその中でも個性あふれる絶景だけをピックアップ。さらに、その中から、静かに秋の色づきを楽しめる穴場スポットを厳選してご紹介します。
1. 絵画のよう!井の頭恩賜公園(吉祥寺)

井の頭恩賜公園自体はとても有名ですが、晩秋になるとまるで絵画のような風景が広がることは、意外と知られていません。
井の頭池のまわりには、レンガ色に染まった大きなメタセコイアやラクショウが立ち並び、背の高い木々が池に映り込む光景が見事です。静かに眺めていたくなる美しさが広がっています。

少し離れた場所から眺めると、また違った表情を見せてくれます。どこか海外の公園を歩いているような雰囲気で、広がりのある景色がとても心地よいです。

メタセコイアとラクショウが植えられているのは「井の頭自然文化園 分園」。そのため、入園料を支払い園内に入らないと、木々を間近で眺めることはできません。それでも、大きな井の頭池のまわりを歩きながら色づく木々を眺めていると、東京ではないような、ちょっとした非日常気分が味わえます。
井の頭恩賜公園
東京都武蔵野市御殿山1丁目ほか
公式サイト
2. 黄金色に包まれる境内!待乳山聖天(浅草)

浅草駅から徒歩約10分の場所にある「待乳山聖天(まつちやましょうてん)」は、正式名称を「待乳山 本龍院」といい、浅草寺の支院のひとつです。
イチョウが色づく季節には、2023年の改修工事で新しくなった山門が、黄金色に包まれたような美しい景色を見せてくれます。山門には立派な龍の彫刻が施されているので、足をとめてじっくり眺めてみてください。

夫婦和合や商売繁昌、身体健全などのご利益があるとされていますが、「どんな願いも叶えてくれる」として人気のパワースポットでもあります。ここでは、油を注いで聖天さまに願いを届ける「浴油祈祷(よくゆきとう)」が行われており、一定期間続けて祈ることで心を整え、願いの成就を願う気持ちを深めていく祈祷です。

隣接する庭園は訪れる人がとても少なく、まさに穴場! スカイツリーと紅葉を一緒に撮影できる絶好のスポットです。
待乳山聖天
東京都台東区浅草7−4−1
公式サイト
3. 爽快な紅葉ロード!上之根大通り(多摩センター)

東京都内でも、こんな爽快な紅葉絶景を楽しめる道路があります。それが、「京王多摩センター駅」「小田急多摩センター駅」から徒歩15分ほどでアクセスできる「上之根大通り(かみのねおおどおり)」です。
道路沿いには左右に背の高いモミジバフウがずらりと並び、まさに圧巻!

モミジバフウは漢字で「紅葉葉楓」と書く樹木で、正式名称はアメリカフウ。すらりと背が高いのが特徴で、葉の形がモミジに似ていることからこの呼び名が付いていますが、カエデの仲間ではないそうです。
木によって色づきの進み方が異なるため、緑・黄・赤・オレンジが入り交じり、一度にさまざまな色合いを楽しめます。グラデーションのように続く並木道は、歩くだけで秋の景色に包まれるようでした。

上之根大通りの「きたとよ橋」から始まる紅葉ロード。私は「ふんすい橋」まで歩き、写真はその「ふんすい橋」から眺めた景色です。まっすぐ伸びる道路に沿って真っ赤に染まった木々が連なり、思わず足を止めて見入ってしまうほどの迫力でした。
上之根大通り モミジバフウ並木
東京都多摩市豊ヶ丘2丁目40あたり
4. 木造和風平屋建のお屋敷から眺める紅葉!瀬田四丁目旧小坂緑地(用賀・二子玉川)

知る人ぞ知る紅葉スポットが「瀬田四丁目旧小坂緑地」です。ここは、衆議院議員を歴任した政治家であり実業家でもあった小坂順造氏が、1937年(昭和12年)に別邸として建てたお屋敷「旧小坂家住宅」と、その周囲に広がる庭園一帯を指します。

庭園内は高低差があり、紅葉や緑に包まれた道をゆっくりと上っていきます。秋のひんやりした空気の中、豊かな自然に囲まれて歩く時間は、とても気持ちのいいひとときです。

瀬田四丁目旧小坂緑地の最大の魅力は、邸宅の中から眺める紅葉です。とくに縁側からの景色は見事で、昔ながらの薄いガラス越しに見る紅葉が、いっそう風情を引き立ててくれます。
寒い日でも日差しがたっぷり差し込む縁側は、ぽかぽかと暖かく過ごせ幸せ気分。テーブルも置かれていて、お弁当を食べてもいいそうですよ。

サンルームからも、紅葉に彩られた庭園をゆっくり眺めることができます。気候が合えば、なんと富士山まで見えるそうです。
瀬田四丁目旧小坂緑地
東京都世田谷区瀬田4-41-21
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5. 小さな滝を包む黄金色の絨毯!戸越公園(戸越公園)

東急大井町線「戸越公園駅」から徒歩約7分の場所に広がる「戸越公園」は、江戸時代に細川家の下屋敷として整備された庭園跡を活かした品川区の公園です。池や滝、築山が点在する回遊式庭園で、散策しながら四季の移ろいを楽しめます。
紅葉シーズンには、池越しに眺める赤や黄色の葉がとても美しく、都心とは思えない落ち着いた時間を過ごせます。

歩き進めるたびに景色が変わり、さまざまな表情を見せてくれるのが魅力です。どこへ進んでも新しい発見があり、散策そのものがとても楽しい公園です。

なかでも私が思わず息を呑んだのが、二段になって流れる滝のまわりを彩る、黄金色の落ち葉の絨毯です。光を受けてふわりと輝く景色は圧巻で、気づけば写真だけでなく動画でも残したくなるほどの美しさでした。
戸越公園
東京都品川区豊町2-1-30
公式サイト



