横浜みなとみらいや周辺エリアには、無料で楽しめるスポットが点在しています。ここでは、知る人ぞ知る展望スポットから、気軽に立ち寄れる歴史的建築まで、私が実際に訪れたなかから、とくに「行ってよかった」と感じられる場所を厳選してご紹介します。
1. 横浜港 大さん橋国際客船ターミナル

「横浜港 大さん橋国際客船ターミナル」は、飛鳥Ⅱをはじめ国内外の大型客船が寄港する横浜の代表的な客船ターミナルです。館内には入出国施設やホール、ショップ、カフェがそろい、24時間開放されている屋外デッキはデザイン性が高く、横浜散策の立ち寄りスポットとしても人気があります。
「くじらのせなか」と呼ばれる独特の屋上デザインは、1995年(平成7年)の国際デザインコンペで選ばれた案をもとに再整備され、2002年(平成14年)に完成したもの。曲線を描く屋根、ウッドデッキ、芝生が一体となり、訪れるたびに写真を撮りたくなる空間です。
なかでも私が特に「映える」と感じるのが、ウッドデッキから「大さん橋ホール」の入口を眺める構図。ドアから異次元にワープしそうな近未来的な眺めで、なんだかワクワクします。

また、大さん橋は「横浜三塔」を同時に望めるスポットとしても知られています。「king」「Queen」「Jack」が描かれた景観ガイドを見下ろす景色は、どこか海外を訪れたようなデザインで、国際都市である横浜らしさを強く感じます。

海の向こうには、赤レンガ倉庫やよこはまコスモワールドの大観覧車、三日月型が印象的なヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル、そして横浜ランドマークタワーなど、「これぞ横浜みなとみらい!」と思わず叫びたくなるような絶景が広がります。
横浜港大さん橋国際客船ターミナル
神奈川県横浜市中区海岸通り1-1-4
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2. 横浜公園 彼我庭園

横浜スタジアムがあることでも知られる「横浜公園」は、1876年(明治9年)に開園した、横浜では山手公園についで古い公園です。外国人「彼(ひ)」と日本人「我(が)」が共に利用できたことから、当時は「彼我公園」とも呼ばれ、その後1909年(明治42年)に現在の「横浜公園」という名称になりました。
そんな横浜公園の一角にある日本庭園「彼我庭園(ひがていえん)」は、無料で入園できます。

公園内にはかつて日本庭園風の景観がありましたが、一度失われました。のちに1978年(昭和53年)に横浜スタジアムの建設にあわせて整備され、2017年の「全国都市緑化よこはまフェア」を機に現在の「彼我庭園」として再整備されたと言います。
小さいながらも池泉回遊式の本格的な日本庭園で、石組みや水琴窟もあり、和の趣をたっぷり感じられます。

園内はせせらぎも心地よく、歩いているだけで気持ちがゆるむような散歩が楽しめます。西洋文化の印象が強いみなとみらいのすぐ近くに、こんなふうに和の癒しを感じられる場所があることに、ふと驚かされます。
横浜公園 彼我庭園
神奈川県横浜市中区横浜公園
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3. 港の見える丘公園(バラ園)

春と秋のバラの季節にぜひ訪れたいのが「港の見える丘公園」です。園内には個性の異なる3つのバラ園が整備されており、無料とは思えないほどのスケールで見応えがあります。
まず、上の写真は「イングリッシュローズの庭」での一枚。まるでイギリスを旅しているような雰囲気で、うっとりするほど美しいバラが咲く庭園が広がります。

つづいて「香りの庭」。噴水を中心に、バラのアーチが設けられた4つの花壇が広がります。

そして最後が「バラとカスケードの庭」。名前のとおり園内にカスケード(小滝)が流れ、せせらぎとバラの組み合わせが心地よい空間になっています。
園内には山手111番館が建っており、地下という位置づけにある「カフェ・ザ・ローズ」では、テラス席からバラを眺めながら、ランチやカフェタイムを楽しめます。バラにちなんだドリンクやスイーツもそろい、味覚でも季節を感じられます。
港の見える丘公園は、バラの季節以外でも横浜港を見渡す眺望が魅力。横浜散策の際に立ち寄りたいスポットです。
港の見える丘公園
神奈川県横浜市中区山手町114
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4. 横浜山手西洋館

横浜山手西洋館は、横浜が開港以来、外国人居留地として発展してきた山手エリアに残る洋館群です。7つある洋館すべて無料で入館できるのが嬉しいポイント!一箇所にまとまっているわけではなく点在しているので、すべてをゆっくりめぐるなら2時間くらいかかるでしょう。
いくつかピンポイントで訪れるなら、まずおすすめしたいのが「ブラフ18番館」。ペパーミントグリーンの窓枠や扉が印象的で、思わず写真を撮りたくなる可愛らしさがあります。

ブラフ18番館のすぐ隣には「外交官の家」があり、あわせて訪れるのが定番のコース。国の重要文化財に指定されており、アメリカン・ヴィクトリアン様式の外観が特徴です。塔屋や張り出し窓など、細かな意匠が丁寧に残されていて、当時の暮らしを想像しながら見学できます。

もうひとつ見応えがあるのが、現存する戦前の山手外国人住宅としては最大規模の「ベーリック・ホール」。スパニッシュ様式を取り入れた建物は、地中海を思わせるような開放的な雰囲気で、非日常を味わえるスポットです。

横浜山手西洋館
神奈川県横浜市中区山手町
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5. 神奈川県庁 東庁舎11階 展望テラス

神奈川県庁は、本庁舎を中心に新庁舎、東庁舎、西庁舎といくつかの庁舎がありますが、そのうち2020年11月に竣工した、ガラスを多用したスタイリッシュな「東庁舎」には、誰でも無料で利用できる展望テラスがあります。
1階のタッチパネルで受付を済ませ(操作に迷っても警備員さんが教えてくれます)、エレベーターで11階へあがると、そこにはやはりスタイリッシュな雰囲気の展望テラスが広がっています。

ウッドデッキと芝が広がる展望テラスは、港町・横浜らしい開放感にあふれ、おしゃれな雰囲気。ベンチも多く、ゆっくり過ごせるのが魅力です。知る人ぞ知る場所だからか、訪れたときは職員の方が休憩に来る程度で、とても静かでした。

目の前に広がるのは、みなとみらいの海とランドマークとなる建物たち。さらに、横浜三塔であるキングの塔「神奈川県庁 本庁舎」、クイーンの塔「横浜税関」、ジャックの塔「横浜市開港記念館」もバッチリ見えます。
展望テラスを利用できるのは平日のみ。平日に横浜みなとみらい周辺を訪れる機会があれば、立ち寄ってみたい穴場スポットです。
神奈川県庁 東庁舎
神奈川県横浜市中区日本大通1
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6. 神奈川県庁 本庁舎

東庁舎が新しくスタイリッシュな建物であるのに対し、本庁舎は1928年(昭和3年)に竣工した歴史的建築です。県庁庁舎としては4代目にあたり、現在は国の重要文化財に指定されています。
茶褐色のスクラッチタイルをまとった威風堂々とした外観は、横浜三塔のひとつ「キングの塔」として広く知られ、多くの人に親しまれています。

東庁舎と同じく入庁できるのは平日のみですが、建築としての魅力をしっかり味わえる空間でもあります。木村拓哉さん主演のドラマ『華麗なる一族』では、庁舎に入ってすぐの大理石の階段がロケに使用されるなど、行政施設でありながら印象的な意匠が随所に残されています。

本庁舎の屋上を見学することもできます。開放感のある広々としたスペースで、横浜みなとみらいらしい景色を眺めることができます。6階にあたるので高さはそれほどありませんが、360度ぐるりと歩き回ることができ、普通の観光地とはひと味違った特別な体験が味わえます。
神奈川県庁 本庁舎
神奈川県横浜市中区日本大通1
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7. 横浜市開港記念会館

横浜三塔のひとつ「ジャックの塔」として知られる「横浜市開港記念会館」は、横浜開港50周年を記念して1917年(大正6年)に開館しました。ネオ・ルネサンス様式を基調とし、赤レンガと白い花崗岩のコントラストが美しい歴史的建築です。

講堂や会議室の公開日は毎月15日のみですが、それ以外の日でも廊下や階段、美しいステンドグラスは無料で見学できます。なかでも、2階ホールにある3枚のステンドグラスは見逃せません。
横浜港の開港や交易をテーマに描かれたステンドグラスは、中央に「鳳凰とハマ菱」、左手に「呉越同舟」、右手に「箱根越え」。色鮮やかなステンドグラスと、奥に見える操舵輪のようなデザインの窓ガラスが横浜らしさを物語っています。

2階へつづく踊り場にあるバラ窓も美しく見惚れてしまいます。この大きな窓があるおかげで光が入り、暗くならないのだそう。絶好のフォトスポットとして人気があります。
横浜市開港記念会館
横浜市中区本町1-6
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8. 日産 グローバル本社ギャラリー

自動車メーカー「日産」の本社ビル内には公開ギャラリーが設けられており、誰でも無料で入館できます。天井がうんと高く開放感のある、広々としたギャラリー内に、個性もさまざまな車がずらりと並ぶ光景は、車に詳しくない私でさえ、思わずわくわくしてしまうほど。
最新モデルから歴代の名車、コンセプトカーまでを間近で見られ、「こんな車で湘南の海までドライブしたいなぁ」なんて、ついベタな妄想がふくらみます。
館内には日産グッズがそろうショップや、水辺の景色を眺めながら過ごせるカフェ(スターバックス)も併設されていて、ちょっとしたテーマパークのような楽しさがあります。横浜散策の途中で気軽に立ち寄れるスポットです。
日産 グローバル本社ギャラリー
神奈川県横浜市西区高島1-1-1
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