以前、英勝寺を訪れたのは、8月初旬の花のない時期。そのときは「花寺」という感じはしませんでしたが、それでも竹林や書院、国の重要文化財などがあり、趣のある境内で過ごす時間はとても心地よく「はぁ、好きなお寺だなぁ」と感じました。
しかし今回、彼岸花の季節に訪れてみると、まさに「花寺」!彼岸花だけでなく、フヨウや萩も美しく、「行ってよかった」と心から思いました。
この記事の写真は2025年9月29日に撮影したものです。
静かなお寺と彼岸花の織りなす風景にうっとり

英勝寺があるのは、鎌倉駅の西口から徒歩約10分の場所。創建以来、水戸徳川家の姫君たちが代々尼僧を務めてきた、鎌倉で唯一現存する尼寺です。
面白いのは、総門ではなく通用門から入るということ。通用門は背が低いので、腰をかがめてくぐります。

花寺として知られる英勝寺。門には、その日に見ごろを迎えている花の名前が書かれた札が掲げられています。以前訪れたときは、この札が一枚も掲げられていませんでしたが……今回は「彼岸花」「フヨウ」「萩」の3つも!
そして、その下には「彼岸花満開」と書かれており、この文字を目にした瞬間、一気にわくわく。

彼岸花が群生しているのは、道路沿いのエリアです。

和の趣を感じさせる、瓦塀に囲まれた彼岸花の風景もお寺らしさを感じます。

英勝寺は、そう大きくないお寺でありながら、境内にはいくつもの国の重要文化財があります。そうした重要文化財と彼岸花の共演が楽しめるのも、大きな見どころです。
上の写真は、珍しい形をした鐘楼と彼岸花。袴を履いているような形をしているので「袴腰付鐘」と呼ばれています。

こちらも国の重要文化財である山門。門前には彼岸花だけでなく、フヨウも咲いています。

山門を反対側から。この辺りには、ぽつりぽつりと白い彼岸花が咲いていました。ピンク色をしたサルスベリも彩りを添えています。

仏殿へつづく石畳沿いにも彼岸花。

振り返ると、庫裡。淡いピンク色をしたフヨウも咲いているのが見えます。

この時期は、境内のどこを撮影しても、赤い彼岸花がひょっこり顔をのぞかせます。さりげなく咲く彼岸花も美しいです。

真っ赤な彼岸花越しの仏殿。

彼岸花に彩られた石畳の先に、急な石段が見えます。

この石段の先には、聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)と、太子堂があります。

石段をのぼると、思ったより広々。なんだか空が近くなった気がします。

石段のほうから撮影してみると、左手には立派な山門、正面には鐘楼。そして、彩りを添える彼岸花!この時期だけの美しい景色をしっかりと目に焼き付けました。

この洞窟は、左手に入口があり、こちらは出口です。岩肌を彩る彼岸花も、英勝寺ならではの風景ではないでしょうか。
洞窟には三霊社権現がお祀りされています。
竹林と書院が広がるエリアへ

きれいな赤紫色をした萩がしなやかに枝垂れる石段をのぼると、竹林と書院があるエリアが広がります。

金毘羅宮に静かに彩りを添える彼岸花。

彼岸花の赤と、青々とした竹林のコントラストが、日本の美を感じさせます。

鎌倉で竹林といえば、報国寺がとても有名ですが、英勝寺の竹林も立派です。趣のある庭門が風情をいっそう引き立てます。

竹林には木のベンチも設けられています。彼岸花の見ごろということで、平日とは言えそれなりに人はいましたが、みなさん、彼岸花に夢中なのか、竹林は独占状態でとても静かです。

どこを切り取っても絵になるお寺なので、ちょっとした風景も、ついついたくさん写真を撮ってしまいます。

書院の前に広がるお庭にも、白や薄いピンク色をしたフヨウと、彼岸花が咲いています。
秋のはじまりに鎌倉を訪れるなら英勝寺の彼岸花が咲くころに

彼岸花がちょうど見ごろを迎えた時期に「英勝寺」を訪れましたが、境内ではフヨウや萩も美しく咲き、まさに「花寺」と呼ぶのにふさわしいお寺でした。
岩肌や重要文化財を背景に咲く彼岸花の風景は、ほかではなかなか出会えない特別なもの。
境内はそれほど広くないにもかかわらず、撮影した写真の時刻を見返すと、気づけば40〜50分も過ごしていたようです。
「秋のはじまりに鎌倉を訪れるなら、英勝寺の彼岸花が見ごろを迎える時期に行ってみて!」と、思わず人にすすめたくなるほど、本当に美しい景色が広がっていました。
住所・アクセス/関連サイト
神奈川県鎌倉市扇ガ谷1-16-3
JR「鎌倉駅」西口より徒歩10分