暇だから不安になる。「休まない」ではなく「暇をつくらない」

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暇だから不安になる。「休まない」ではなく「暇をつくらない」

どうしようもなく、鬱々として、悶々とした時期。私は、とても暇でした。

目の前の今をまったく楽しめていなくて、頭のなかは「あのときこうしていれば」「こんなはずじゃないのに」と過去を悔やんだり。「この先どうなるんだろう」「このままじゃ……」と先のことを考えては不安になったり。

不安になるから、ますます気持ちは沈み、毎日がどんより。まるで楽しくなかったのです。

あの頃の私は、「暇」であったがゆえ、不安や悩みに心を奪われていたのだと思います。暇は、人の心をネガティブな方向へと引き寄せやすいのです。

oto

この記事を書いた人:oto

東京を拠点に、明日がちょっと楽しみになるおでかけや日々のヒントを発信。電子書籍『わたしをご機嫌にする休日』(Amazon Kindle総合ランキング2位)をはじめ、6冊を出版。Yahoo!ニュース エキスパートでは「おでかけ記事」を執筆中です。JFN系全国28局ネット「レコレール」に出演し、東京の穴場スポット紹介も。

目次

暇だから悩むし、暇だから不安になる

人間は放っておくと、ネガティブなことを考えやすい性質を持っています。

人間の脳には、生き延びるために危険に敏感でいようとする防衛本能があるので、安心より不安なことのほうに意識を向けやすいのです。

だから、ただただやることがなくて暇をしていると、脳はつい不安の種を見つけてしまいます。そのため、考えなくてもいいことまで考えてしまい、鬱々としたり、悶々としたりするのです。

物理的なことを言えば、仕事で忙しいときは、そもそも悩む暇なんてありませんよね。

私も「今日中にこの原稿を仕上げなくては!」というときは、目の前のことで精一杯で、未来のことで不安を感じる余裕なんてありません。

暇が幸せを奪うこともある——FIREした人の悩み

一見、とても自由で羨ましく思えるFIRE(経済的自立と早期リタイア)。長年の努力で資産を築き、働かなくても暮らしていけるようになった人は、周囲から「勝ち組」と見られがちです。

もちろん、FIREをして心から幸せに暮らしている人もたくさんいるでしょう。

けれども、実際にはリタイア後に心のバランスを崩す人が少なくないことも知られています。その理由のひとつが、“暇になりすぎる”こと。

仕事をしていたころは、やるべきことが自然と日々のリズムをつくっていました。お金を稼ぐという目的があり、人と関わり、必要とされる実感がありました。

ところが、経済的な心配がなくなり、最初は夢に見た自由に包まれていても、そのうち時間をどう使えばいいのか分からなくなる人が出てきます。

人の心は、外からの適度な刺激がないと、自分の内側に意識が向かいやすくなります。すると、過去の後悔や将来への漠然とした不安を掘り返したり、「このままでいいのだろうか」と答えのない問いに悩んだりすることが増えてしまうのです。

こうしたことは本来、FIREを経験した人が語るべきことなのかもしれません。けれども、私にも、お金にも時間にも余裕があった時期があり、そのときに痛感したことがあります。

一見するとバラ色のような暮らしに見えるものの、その頃の私は、とにかく暇で、心がどんどん内向きになり、人生でいちばん鬱々とした暗黒期を過ごしていました。

FIREで経済的な安心を得られるなら、それはやっぱり羨ましい!しかし、なにより大切なのは「目的」があることなのだと気づいたのです。

負け惜しみでもなんでもなく、私はFIREよりも、選択の自由があること——たとえば働くことも選べるし、休むことも選べる、学ぶことも試すこともできる——そんな自由があることが、私にとっては幸せだなぁと感じています。

脳は“目的”があると元気になる

脳は、ただ時間を持て余しているときよりも、「これをやってみたい」「このために動こう」という目的があるときに活発に働くようになっています。

目的があると、それを達成しようとする過程でドーパミンが分泌され、意欲や集中力が自然と引き出されるのです。

逆に、目的を持たないまま時間だけが余ってしまうと、脳は持て余したエネルギーを過去の後悔や、未来の不安な想像に向けてしまいがちです。

考えなくてもいいことまで考え込み、必要以上に悩んだり、ちょっとしたことに心を曇らせてしまうことがあります。

目的といっても、大きなものである必要はありません!

「今日は久しぶりに◯◯ちゃんに連絡してみよう」
「Googleマップのマッピングを整理しよう」
「行きたかったあのカフェに行ってみよう」

こうした小さな予定でも脳は活性化し、前向きなエネルギーを生み出します。

“目的のある時間”は、脳にとっての栄養のようなもの。
日々の暮らしにほんの少しでも目的を持つことで、余計な不安が入り込む余地が減り、心が満たされやすくなります。

そう考えると、私が毎朝の習慣として取り入れている「やることリスト」は、自然と毎日に小さな目的を見つける習慣なのかもしれません。

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休むことは悪くない!大事なのは“暇”と“休息”を区別すること

「暇をつくらないこと」と「休まないこと」は、まったくの別物です。

私もかつて、「なんだかメンタルがよくない。だからちゃんと休まなくては……」と思っていた時期、休むこと=ただ何もしないことだと勘違いしていました。

結果として、ただ暇をしている時間が増え、かえってメンタルをこじらせることに。「ちゃんと休んでいるのに」と、どつぼにハマってしまいました。

私たちには、何もしないでぼーっとしたり、体をリラックスさせる休息の時間が確実に必要です。休息は体と心を回復させ、また動き出すためのエネルギーをチャージするための大切な時間です。

それではさて、暇と休息の違いはなんでしょうか?

休息の時間は、目的をもって自分をいたわる時間です。
たとえば、午後のひとときに温かいお茶をゆっくり味わう、音楽を聴きながらソファでリラックスする、短い昼寝をして疲れを癒やす……こうした時間は心と体をほぐしてくれます。

暇な時間は、目的もなく気づけばスマホを見続けたり、だらだらとSNSをスクロールしたりしてしまう時間です。
終わったあとに気持ちが晴れるどころか、なんとなく疲れていることが多いのではないでしょうか。

仕事でも、あまりに忙しすぎるのは歓迎できませんが、あまりに暇だと、かえって疲れてしまいますよね。
そう、暇って、実は疲れるんです。

心と体を回復させる休息と、日々に小さな目的を持つこと。

このバランスが整うだけで、余計な不安や悩みにとらわれる時間が減り、毎日をもっと意欲的に、心地よく過ごせるようになります。

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