1日のはじまりをどんなふうに迎えるかで、その日の気分や流れが少しずつ変わっていきます。
忙しい朝は、つい時間に追われてしまいがちですが、ほんの小さな習慣を取り入れるだけで、心にゆとりが生まれたり、気持ちを切り替えられたり。朝の重だるさだって解消できたりするものです。
ここでは、毎朝の時間を少し心地よく整えてくれる習慣をご紹介します。
1. 朝いちばんに向かう場所をきれいにしておく
著書『わたしの機嫌はわたしがつくる』でも、自分をご機嫌にする習慣として紹介しているのが、朝一番に向かう場所をきれいにしておくということです。
私の場合、朝起きてすぐ、白湯をつくるためにキッチンへ向かいます。そのとき、作業台にものが置かれていないと、それだけですごく気持ちがいいです。
反対に、作業台に洗い物や道具が置きっぱなしになっていると、心のなかで小さく「はぁ」とため息をつきたくなることも。ごちゃごちゃしていると、それだけで脳が忙しくなり、まだ目覚めきっていない朝の気持ちがどこか落ち着かなくなるのです。
最初は少し面倒に感じていたものの、夜ごはんの片付けが終わったあとに、翌朝の自分のためにキッチンを軽く整えることは、今ではすっかり習慣になりました。ほんの数分のことですが、翌朝の心地よさが驚くほど違います。
2. 「今日もいい日になる」と声をかける
朝、目が覚めたときに、自分に向かって「今日もいい日になる」と声をかけてみる。シンプルだけれど、本当にいい日になる予感がして、目覚めが心地よいものになります。
私たちは、無意識のうちに耳にした言葉に影響を受けています。朝一番に耳にした言葉が、その日をどんな気持ちで過ごすかを左右することもあるのです。
たとえば、朝起きて最初に聞いたのが「嫌だな」「面倒だな」といった言葉なら、1日がどこか重たくはじまってしまうでしょう。
一方で、「今日も楽しみ」「いい日になりそう」といった前向きな言葉なら、自然と気持ちが軽やかになります。
「今日もいい日になる」という言葉は、根拠のないおまじないのように思えるかもしれません。でも、言葉は心のレンズのようなもの。前向きな言葉を意識して口にすると、その日出会う出来事を肯定的に受け取りやすくもなります。
3. 白湯や常温の水をのむ
私自身は、朝の1杯目に白湯を飲むようになって、乾燥しづらくなったように感じていますが、朝の1杯を白湯や常温の水にすることで、ぐっと1日のスタートが心地よいものになります。
私たちの体は、寝ている間にコップ1杯分ほどの水分を失っていると言われています。にもかかわらず、朝いちばんに水分を補わないままでいると、体は軽い脱水状態に。血液がドロっとしやすくなったり、頭がぼんやりしたり、便秘がちになることもあります。
朝の1杯は、その失われた水分をやさしく補い、体のスイッチを入れる大切な役割を果たしてくれるのです。
特に白湯は、体をじんわりと温めながら目覚めさせてくれます。冷たい飲み物では胃腸に負担がかかることもありますが、ぬるめの白湯なら自然に体がほぐれて、内側から目覚めるような感覚が得られます。
毎日続けていると、朝のだるさが軽くなったり、肌や腸の調子が整ったりと、体のリズムが少しずつ変わってくるかもしれません。
なにより、「自分の体をいたわる」小さな習慣が、心をやさしく整えてくれます。
4. 胸を開くストレッチ
わざわざ「ストレッチ」なんて書くほどのことでもなく、両手を背中の後ろで軽く組み、肩甲骨を寄せるようにして胸をゆっくり開くだけ。
これだけで、1日のはじまりが気持ちよくなります。
私たちは寝ているあいだに、無意識に丸まった姿勢になっていることが多いものです。特に横向きで眠っていると、胸の前がぎゅっと縮こまりやすく、呼吸が浅くなっていたりすることがあります。
呼吸が浅いと、新鮮な酸素が体にしっかり行き渡らず、脳への血流も滞りがちに。朝から頭がぼんやりしたり、やる気が出にくかったりするのは、そのせいかもしれません。
そこで、胸を開いて大きく呼吸をする。たったこれだけ。
胸が開いて呼吸が深くなると、血液がスムーズにめぐり、脳がしっかり目覚めていきます。同時に姿勢が整い、顔も自然と上向きに。
気持ちまで軽やかになり、「よし、今日もがんばろう」と思えてきます。
5. ニュースを見ない
私は、天気予報とか、暮らしに必要な情報があるかもしれないので、朝、いちおうニュースをつけていますが、音は出さないようにしています。
画面を流し見て、「次はネガティブな話題だな……」と感じたら、無意識に目をそらすようになりました。
以前は当たり前のように、朝のニュース番組を見ることから1日がはじまっていました。けれどもどうしても、事件や経済の不安をあおる話題など、心がズドンと重くなるようなニュースに触れてしまいます。せっかく目覚めたばかりなのに、その一瞬で気持ちがどんよりしてしまうのです。
朝は、まだ心も脳もいちばんやわらかく、影響を受けやすい時間帯。ポジティブなものにもネガティブなものにも染まりやすいので、どんな情報を入れるかは案外大事です。
思い切って、朝にニュースをほとんど見ないようにしてみたら、気づけば「今日はあれしよう、こうしよう!」とか「今日も楽しむぞ〜!」と、ワクワクしながら1日をはじめられるようになりました。
朝にネガティブな情報を遠ざけることは、自分の心を守り、気持ちよく1日をスタートさせるためのやさしい工夫なのだと思います。

6. 窓をあけて空気を入れ替える
朝起きたら、まずカーテンを開けて窓を開ける──これだけの小さな習慣が、思いのほか1日の気分を左右することがあります。
夜のあいだに閉め切られた部屋の空気は、知らず知らずのうちにこもっています。呼吸で吐き出された二酸化炭素や湿気、ほこりなどがたまり、朝目覚めたときのだるさや、どよんとした空気感の原因になることも。
窓を開けて新鮮な空気を取り入れることで、わずか数分で、頭がすっきりして目覚める感覚があります。深呼吸したくなるような爽やかさは、体の中に新しいエネルギーを運び込むよう。
また、窓を開けるという行為そのものが、一種の目覚めの儀式。「今日がはじまるぞ!」という区切りになり、気持ちの切り替えがしやすくなります。
天気や空の色、風の冷たさに気づくことで、季節の移ろいを感じられるのも、朝の楽しみの一つです。
7. お気に入りの香りを嗅ぐ
香りといっても、アロマや香水のような香りだけではありません。私自身は、朝、コーヒーの香りを嗅ぐだけで「はぁ〜」と幸せな気持ちになります。
香りは、五感のなかでもとくに感情と深く結びついているといわれています。鼻から入った香りの情報は、脳の大脳辺縁系という感情や記憶をつかさどる部分に直接届くため、ほんのひと呼吸で気持ちを切り替えてくれるのです。
たとえば、柑橘系の香りは気分をシャキッとさせてくれますし、ミント系は頭をすっきりさせてくれます。花の香りやハーブのやさしい香りは心を落ち着けて、前向きな気持ちにしてくれるでしょう。
朝の香りは難しく考える必要はなく、焼きたてのパンの香りや、スキンケアを香りで選んでみるのもいいと思います。
朝、自分にとっての心地よい香りを取り入れる習慣は、朝をちっぴり楽しみにさせてくれます。