「ちゃんとしなきゃ」がストレスの原因だった

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「ちゃんとしなきゃ」がストレスの原因だった

私は、ストレスを感じやすい自覚がありました。けれど長い間、そのいちばん根っこの原因には気づかないまま過ごしていました。

転機になったのは、ある時期から、どんなときにストレスを感じやすいのかを書き留めるようになったことです。
小さなメモを積み重ねていくうちに、ようやく見えてきたのです。

私のストレスの大元は、「ちゃんとしなきゃ」でした。

oto

この記事を書いた人:oto

東京を拠点に、明日がちょっと楽しみになるおでかけや日々のヒントを発信。電子書籍『わたしをご機嫌にする休日』(Amazon Kindle総合ランキング2位)をはじめ、6冊を出版。Yahoo!ニュース エキスパートでは「おでかけ記事」を執筆中です。JFN系全国28局ネット「レコレール」に出演し、東京の穴場スポット紹介も。

目次

無意識に「ちゃんとしなきゃ」にとらわれていた

私は自分では、大雑把な性格だと思っています。細かいことは気にしないし、繊細でもない。むしろ、ちゃんとしていないほうだとさえ思っていました。

そんなふうに自己分析していたからこそ、「ちゃんとしなきゃ」という思いに自分がとらわれているなんて、まったく気づかなかったのです。

でも改めて考えてみると……

・ちゃんと返信しなくては
・約束の時間に遅れないようにしなくては
・ちゃんと期限に間に合わせなくては
・TPOにあわせたファッションをしなくては

そんなふうに思っている自分がいます。

あるときは、「飲み物を残すの申し訳ないし……」とつぶやきながら飲んでいたら、「別にいいじゃん」と言われて、ハッとしたこともありました。このときも、「出されたものは、ちゃんと全部食べなくては、飲まなくては」と思っていたんです。

これまでの人生であまりに当たり前すぎて、気づけなかっただけで、私は思った以上に「ちゃんとしなきゃ」にとらわれていたのでした。

時間に追われるストレスも「ちゃんとしなきゃ」から来ていた

私はとにかく、時間に追われることに強いストレスを感じます。

だから、そうならないように、子どもの頃は夏休みの宿題を早めに終わらせていたし、今でもスケジュールにはできるだけゆとりを持つように心がけています。

この性格は、自分でも気に入っています。
けれど、この「時間に追われる」ストレスの正体も、結局は、「時間がなくてちゃんとできないかもしれない」という不安でした。

たとえば、自分だけでは完結しない仕事をしていて、相手からなかなか返信が来ないとき。
「このままでは期日に間に合わないかもしれない」「ちゃんとできないかもしれない」という思いが頭をよぎり、胸がざわついてしまうのです。

「ちゃんとしなきゃ」を少しずつ手放してみる

原因がわかれば、次にやることは「ちゃんとしなきゃ」をゆるめること。

もちろん、自分で決めた約束や仕事の期限は守りたいと思っています。でも、それ以外の場面では、少しずつ「ちゃんとしなくてもいいや」と思えるように試しています。

私の場合、暮らしのなかでは手を抜くところは抜きつつ、丁寧にしたいときはちゃんとする──そんなしなやかなバランスがとても心地がいいです。

一方で、対人関係ではとくに「ちゃんとしなきゃ」をゆるめたいと思っています。

たとえば「ちゃんと返信しなきゃ」と思ったとき、心の中でふっと大きなため息をついていたら、それがお疲れサイン。そのことに気づいたら、「今日は別にいっか」と心の中でつぶやいてみる。そんな小さな実験を重ねています。

心理学では、自分を過剰に責めることを「セルフ・クリティシズム」と呼びます。
これはモチベーションを高めるどころか、ストレスホルモンを増やし、心の回復力を弱めてしまうことがわかっています。

つまり「ちゃんとしなきゃ」という気持ちは、ある程度は必要でも、行き過ぎると逆効果になるのです。

大切なのは、自分を追い詰めないために、必要なところは丁寧に向き合い、それ以外はそっと肩の力を抜くこと。その、自分にとって心地よいバランスを見つけていくことだと感じています。

ちゃんとした自分でいなければ、認めてもらえない?!

なぜ、こんなにも「ちゃんとしなきゃ」にとらわれてしまうのか。その原因は、子どものころに「ちゃんとしていたら褒められた」経験にあるのではないか、と私は思っています。

今でも心に残っているその記憶が、「ちゃんとした自分でなければ認めてもらえない」という思い込みを、いつの間にか育ててしまったのではないかと思うのです。

もし「ちゃんとした自分でなければ認めてもらえない」と、心の奥深くで信じ込んでいるのだとしたら、まず必要なのは、自分自身が「ちゃんとしない自分」を認めてあげること。

少し甘やかすように、「ここまでやったんだからOK」と、自分にそっと声をかけてあげる。そんな小さなひと言が、心をふっとゆるめてくれます。

また、心理学では、人は相手の「欠点の少なさ」ではなく、誠実さや一貫した態度を信頼する傾向があると言われています。つまり、多少「ちゃんとしていない」ところがあっても、その人が大切にしていることを大事にしているなら、信頼は揺らがないのです。

むしろ、「ちゃんとしなきゃ」にとらわれて余裕をなくすよりも、少し肩の力を抜いて自然体でいるほうが、相手に安心感や信頼を与えることもあります。

おわりに──「ちゃんとしなきゃ」をゆるめると人生がやさしくなる

「ちゃんとしなきゃ」を少しずつ手放していくと、心にゆとりが生まれます。そしてそのゆとりが、自然と人に対するやさしさにもつながっていきます。

「ちゃんとしなきゃ」を手放すことは、決してだらしなくなることではありません。むしろ、自分を大切にできるようになるための選択です。

もし、「ちゃんとしなきゃ」に疲れてしまっているなら、今日からほんのひとつだけ、「別にいっか」とゆるめてみてください。

その小さな許しが、心の中にそっと余白をつくり、毎日が少しずつ、そして人生そのものが、やさしく変わっていくはずです。

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