仕事とかプライベートで「なんか最近、うまくいかない」と気分が下がっているとき。
そんな日が数日つづくと、わたしはあることに気づきます。数日で気づくならまだよくて、それが数ヶ月つづいてやっと気づくこともあります。
何に気づくかとうと、自分が「ない」もの、「足りない」ものばかりに目を向けているということ。
そりゃ「ない」ものばかりに目を向けていたら、毎日がつまらないと感じたり、不満でいっぱいになったり、気分が下がるのも当然ですよね。
だから「ないもの探し」をしていることに気づいたら、気づけて「ラッキー!」とばかりに、今度は「あるもの」探しをはじめます。
そうすると、不思議なくらい気分が上向いて、また前を向けるようになるのです。
わたしたちは「ないもの」に目を向けてしまう
わたしたちの脳は、ネガティブなことに反応しやすいようになっています。これは「ネガティビティバイアス」と呼ばれるもので、ポジティブな出来事よりもネガティブな出来事のほうを強く記憶し、注意を向けやすいのです。
たとえば「10人から褒められても、1人から批判されたら、その言葉ばかりが頭に残る」という経験は多くの人があるのではないでしょうか。これは「足りないこと」「危険なこと」に敏感であることで、人間が生き延びてきたから。
わたしも、いろんなことが順調なときは「ある」ものに目を向けられても、一旦、歯車が狂いはじめると、知らない間に「ない」もの探しループに陥ってしまいます。
人生、ずっとうまくいくわけではなくて、「なんだか調子が悪い」という時期はやってくるもの。そんなときにズドーンと落ち込みすぎないために、一旦「あるものを数える」ことが、気持ちを切り替えて前を向くきっかけになるのだと実感しています。
30万人のフォロワーがいる人だって「ないもの探し」をする
たとえば、SNSのフォロワー総数が30万人を超える知り合いのインフルエンサーさん。
すごい数字に思えますよね? でも彼女は「再生回数が全然伸びない」「フォロワーが増えない」と悩んでいました。更新頻度もうんと減っています。
半年以上もそんな状態が続けば、「もうやめようかなぁ」と思ってしまう気持ちもわからなくもありません。
わたしから見れば「30万人もいるなんて十分すごい!」と思うのですが、当の本人にとっては「ない」ことのほうが目についてしまう。人間ってそういうものです。
あるものを数えるというシンプルな習慣
病気になってはじめて健康のありがたさに気づくように、普段から当たり前に持っているものは、つい頭のなかから消えてしまいます。そして「ない」ものばかりを数えてしまう。
だからこそ、意識的に「あるものを数える」ことが大事なのだと思います。これはお金も時間もかからない、とてもシンプルな習慣。
わたしもこの記事を書きながら、あるものを10個書き出してみました。
- 健康な体がある
- 毎日ごはんが食べられる
- おいしいコーヒーが飲める
- 冷房の効いた部屋で過ごせる
- こうして記事を書けるパソコンがある
- 楽しませてくれるスマホがある
- あたたかいお風呂に入れる
- 好きなカフェで過ごす時間がもてる
- 好きな洋服を着られる
- 必要とされる仕事がある
こうして書き出してみると、「もしこれがなかったら」と想像してゾッとします。健康な体はもちろんだし、パソコンがなければ仕事ができない。冷房の効いた部屋だってありがたすぎます。
コーヒーがなくても困らないかもしれないけれど、コーヒーがあるから毎日ちょっと幸せ。そんなふうに「ある」を実感できるのです。
「ある」と思える感覚が豊かさを呼ぶ
あるものを数えることで大切なのは、「ある」と思える感覚。「あぁ、わたしはちゃんと豊かなんだなぁ」と気づくことだと思っています。
なぜなら「あるもの」「すでに受け取っているもの」に意識を向けると、脳は“満たされている”というサインを受け取り、安心感をもたらしてくれるから。
安心感があると、人は自然と前向きな行動を取りやすくなり、その行動がさらに新しいご縁やチャンスを運んできてくれる。この流れが、豊かさを連れてきてくれます。
たとえば「お金がない」と思うと不安から消費を控えてしまうけれど、「必要な分はちゃんとある」と感じられれば、心に余裕を持って使えます。結果的に人との交流や体験も増え、次の豊かさへとつながるのです。
そして、人間の脳には「RAS(網様体賦活系)」というフィルター機能があります。これは「自分が意識したもの」に関連する情報を優先的にキャッチする仕組みのこと。
わたしはランニングをするようになってから、「街なかでこんなに走っている人がいるんだ!」と驚いた経験があります。意識を向けた瞬間、それまで見えていなかったものが急に目に飛び込んできたのです。
同じように、「ある」に目を向けていると、日常のなかで「あるもの」をどんどん見つけられるようになります。
つまり、「足りない」と思えば「足りない証拠」ばかりが目につき、「ある」と思えば「ある証拠」がどんどん集まってくる。
わたしたちの世界の見え方は、意識の向け方ひとつで大きく変わっていくのです。
未来にたいして「ある」を見る
未来にたいしても、「不安ばかり」ではなく「可能性がある」と数えてみる。
「明日は今日より少し楽しいかもしれない」
「まだ会っていない人と出会えるかもしれない」
そう考えると、明日が、少し先の未来が、ちょっぴり待ち遠しいものになります。
「まだないもの」ではなく、「これからあるかもしれないもの」を数えてみる。そんな習慣をもつだけで、未来はぐっと軽やかに広がっていくのだと思います。