平日、しかも暑い夏だし、鎌倉も人は少ないかなぁ…なんて思っていたけれど、やっぱり相変わらずの人の多さ。観光地らしい賑やかさも嫌いじゃないけれど、今回の旅は静かに過ごせる場所を巡ることが目的。そこで最初に向かったのは、鎌倉駅から歩いて30分ほどの場所にある「浄妙寺」です。
バスでもアクセスできるけれど、私は鎌倉の雰囲気を楽しみながら歩いて向かうことにしました。
穴場とはいえ、鎌倉五山のひとつ

浄妙寺に着いたのは午前10時少し前。お抹茶がいただける喜泉庵がオープンするのがちょうど10時からなので、それに合わせてやってきました。
穴場とはいえ、ここは鎌倉五山・第五位という格式のあるお寺。
鎌倉五山とは鎌倉時代に定められた禅宗(臨済宗)のお寺の格付けのことで、ちなみに第一位が建長寺、第二位が円覚寺、第三位が寿福寺、第四位が浄智寺です。
山門をくぐってすぐ左手に受付があり、入山料100円を支払います。

さっそく目の前に現れたのは、両側に美しい庭園が整備された参道と、その先には本堂。
境内も豊かな緑に囲まれていて、ついつい深呼吸をしたくなってしまいます。

数段の石段をのぼると、石畳と気持ちのいい芝生が広がり、緑青色をした屋根が印象的な本堂があります。
現在の本堂は、江戸時代中期の1756年(宝暦6年)に再建されたもの。寄棟造りの銅板葺きで、屋根はゆるやかに盛り上がる「むくり屋根」が特徴です。
茶室「喜泉庵」で枯山水庭園を眺めながらお抹茶

今回、浄妙寺を訪れた最大の目的は、喜泉庵でお抹茶をいただきながらゆっくりすること。本堂のすぐ近くにあります。
オープン直後の10時過ぎに着くと、すでに先客が2組いて、私は3組目。しかし、私のあとにはしばらくお客さんがやってくることはなく、私を含めてこの場にいるみなさんきっと、この喜泉庵で過ごすことを楽しみに、鎌倉観光の最初に訪れたのかな?なんて想像してしまいます。

「今から、あの茶室で過ごすんだなぁ」とウキウキしながら庭園を眺め、写真をぱしゃり。手入れが行き届いて美しく、思いのほか緑の多い景色に癒されます。

喜泉庵の営業時間は10時~16時30分(L.0.は16時15分)。メニューは、抹茶と生菓子(1,100円)、抹茶と干菓子(660円)の2種類。※税込

玄関で先に注文とお会計を済ませると、いよいよお部屋へ。座席は2種類あり、ひとつは、緋毛氈(ひもうせん)に座っていただく席。

そしてもうひとつが、テーブル席。迷ったあげく、テーブル席でいただくことにしました。

さて、いただいたのはお抹茶と生菓子のセット。
生菓子は、鳩サブレで知られる「豊島屋」さんのもので、桔梗でした。そしてお抹茶(冷抹茶も選べた!)は、ガラスの器に注がれていてとっても涼やか。

こんな景色を眺めながらお抹茶をいただけるなんて、最高のひとときです。しかも、風が心地よく通り抜け、あまりの気持ちよさに自然と口角がくいっと上がります。
お抹茶と生菓子で過ごす時間もいいけれど、こんな場所でお食事もできたら最高だなぁなんて贅沢なことを考えてしまいました。

庭園に出ることはできませんが、縁側までは出てもOK!
縁側に設置されている竹筒に耳を当てると…水琴窟の音色が楽しめます。金属音のような澄んだ音色が静かに聞こえてきて、とても癒されます。
ランチやアフタヌーンティーができる「石窯ガーデンテラス」もある

喜泉庵でたっぷり心を潤したあとは、敷地内をぶらぶら散策。すると、お寺の敷地内とは思えない、洋風の看板を発見!
私が訪れた日はあいにく定休日でしたが、レストラン&カフェ「石窯ガーデンテラス」があります。

「外観だけでも見たかったなぁ」と思いながら坂道をのぼっていると、外観を見ることができました!大正時代に建てられた貴族院議員の邸宅を改装したものだそう。綺麗な花も咲いていて、心がときめきます。
喜泉庵からは日本庭園を眺めながら過ごせましたが、こちらではイングリッシュガーデンを見ながらランチやアフタヌーンティーなどが楽しめます。
「いつか、このレストランにも行ってみよう!」と、またひとつ、楽しみができました。
想像していた以上に、大満足の時間を過ごせた浄妙寺。鎌倉駅からは少し離れていますが、近くには竹寺で知られる「報国寺」や、苔むした石段が美しい「杉本寺」、季節の花が咲く庭園が広がる「一条恵観山荘」があるので合わせて訪れるのもおすすめです。
住所・アクセス/関連サイト
神奈川県鎌倉市浄明寺3-8-31
「鎌倉駅」より京急バス「金沢八景行き」「鎌倉霊園正門前太刀洗行き」「ハイランド循環」に乗車し、「浄明寺バス停」下車徒歩1分
「鎌倉駅」より徒歩30分